読み方のコツは
仕事や関心に近い言葉を探すこと
読み方のコツを言うなら、自分の仕事や関心に近い言葉を探してみることでしょうか。
例えば「交通空白の解消」に注目する人なら、日本成長戦略で自動運転技術にどれほどの官民投資が見込まれているかを確認する。「健康寿命」に関心があれば、運動やスポーツを活用した健康インフラ、健康維持に取り組む企業への支援、スポーツの成長産業化といった記述を追っていく。
AIでも、フィジカルAIと、特定の業界や用途に特化したバーティカルAIでは、想定される投資規模や経済波及効果が異なります。一覧を見比べると、世間で話題になっている分野と、実際に大きなお金が動こうとしている分野が必ずしも同じではないことが分かります。
僕が6月30日公表の原案で、特に注目したのは、「ゼロカーボン北海道」と「GX、AI、DX産業の集積促進」という記述です。原案と日本成長戦略の資料をつなげて読むと、洋上風力で電力を生み、その電力を大量に使うデータセンターや関連産業を北海道に集積させようとしているのではないか、という仮説が浮かびます。
もちろん、これは僕の読み方です。別の地域、別の業界で働く人が読めば、違う可能性が見えてくるでしょう。それこそが、要約を読むだけでは得られない価値です。
――骨太の方針は、誰が読んでも役立ちますか。
もちろんです。就職や転職、学び直しにも使えます。
「これから何を勉強すればいいのか」「どの業界に就職すればいいのか」と悩んでいる学生は、骨太の方針と日本成長戦略を読むといい。そこには、日本がこれから伸ばそうとしている分野が書かれています。
社会人が、大学院でどの分野を学び直すかを考える際にも役立つでしょう。日本が抱えている課題が分かれば、その課題解決が新しい事業やビジネスチャンスにつながる可能性もあります。
一度読めば、経済ニュースの見え方も変わります。そして翌年、もう一度読む。前年から増えた言葉、消えた言葉、強くなった表現を味わい、自分なりの意見を持つ。そこまでやって初めて、「骨太の方針を読んだ」と言えるのではないでしょうか。
『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』(杉村太蔵 、文藝春秋)







