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高市政権が初めて策定した「骨太の方針」は、「責任ある積極財政」の下で官民の国内投資を大幅に拡大し、潜在成長率を引き上げる構想を打ち出した。だが、設備投資はすでに歴史的な高水準にあり、「投資不足」という前提には疑問も残る。巨額目標の独り歩きや財政規律の緩みを警戒する債券市場を、政権は納得させられるのか。(マーケットコンシェルジュ代表 上野泰也)
「強い経済」への転換を掲げるも
人口減少対策は脇役に
高市早苗政権は7月21日、今年の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)を閣議決定した。原案の段階で日銀の金融政策に関する記述内容が利上げけん制とマーケットで受け取られるなどして債券市場で売り材料になり、長期金利が急上昇したため、政府の当初想定から決定時期は後ずれした。
今回の骨太の方針は高市政権発足後では初めてのもので、「サナエノミクス」の考え方が前面に強く出された。
第1章「マクロ経済運営の基本的考え方」は冒頭で、「日本と日本人の底力を活かし、総合的な国力を徹底的に強くしていく。これが高市内閣の使命である」と強調した。
そして、「その中核にあるのが、『強い経済』の実現であり、従来の延長線上ではない、新たな経済財政運営への抜本的な転換を図る」とした。従来なかった大胆な政策展開によって「強い経済」の実現を目指すというのは、高市首相がよく口にすることである。
上記に続く文章は、日本がいま直面する課題として、「人口減少、安全保障環境の変化、エネルギー制約、自然災害リスクの増大、AI(人工知能)をはじめとする技術革新、国家間の産業・技術競争の激化」を列挙し、日本は「歴史的な構造変化の中にある」とした。
人口減・少子高齢化こそが日本経済を長期低迷に陥らせている主因だと、筆者は引き続き認識している。しかし最近では、海外人材受け入れへの抵抗感が世の中に漂っている。保守層からの厚い支持が政権の支えになっていることもあり、高市政権としては積極化な「開国」という道筋を選ぶわけにはいかない。
このため、諸課題の冒頭に「人口減少」を掲げはしたものの、この問題への本格的な対応策を骨太の方針が新たに打ち出すことはなかった。人口問題は「ワン・オブ・ゼム」的な位置付けにとどめられたと言える。
では、何をやっていくのか。次ページでは、骨太の方針の内容に基づいて検証していく。







