「スマホばかり見ないの」と注意しながら、自分はスマホばかり。「人のせいにしない」と言いつつ、つい「あなたのせい」と口走る――。そんな親の「言行不一致」を、子どもは敏感に見ています。『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)の著者で文章の専門家・山口拓朗氏が、親がやりがちな6つの言行不一致と、子どもの言語化力への影響を書き下ろします。

「うわ、私もやってる…」子どもに注意する親ほどハマりがちな6つの「言行不一致」Photo: Adobe Stock

「言葉には責任が伴う」ことをどう教えるか

子どもには「自分の言ったことに責任をもちなさい」というのに、自分は言葉と裏腹なことをしている。親にとっては「あるある」ではないでしょうか。

・「悪口を言わないの」というけど、夫(妻)や親類への愚痴が止まらない。

・「好き嫌いしちゃダメ」というのに、自分は嫌いなものは口にしない

・「無駄遣いしないの」というけど、自分はネットで衝動買いばかり

・「人のせいにしない」というけど、よく「あなたたちのせいで」と口走る

・「急いで」というけど、自分が遅いときは「準備してるの!」と怒る

・「スマホばかり見ないの」という自分が、誰よりスマホを見ている

いわゆる「言行不一致」です。
子どもは、親の「言葉」だけでなく、その言葉と「行動」のズレも敏感に見ています。そして、そのズレにくり返し触れるうちに、「言葉は、自分の都合に合わせて使っていいもの」という学習をしてしまいます。

「ちゃんと聞きなさい」と怒鳴る親が、誰より人の話を聞いていないことに気づいた子どもは、“人の話をちゃんと聞く”というルールではなく、“立場が強い人は、言っていることとやっていることが違ってもいい”というメッセージを受け取ります。言葉の意味よりも先に、言葉の「使われ方」を学ぶのです。

これは、子どもの言語化力にとっても見過ごせない問題です。
言語化力とは、本来「自分の考えや気持ちに、誠実に言葉を当てはめる力」のこと。ところが、言葉を「その場をしのぐための道具」として使う大人を見て育つと、子どもも同じように、責任を伴わない言葉を平気で口にするようになりかねません。「本音を語る言語化力」ではなく、「その場をやり過ごす言語化力」が育ってしまうのです。

この悪しきスパイラルから抜け出すために必要なのは、親自身が言葉と行動を一致させる「言行一致」の姿勢です。もちろん、完璧である必要はありません。大人だって言葉どおりに行動できないことは山ほどあるでしょう。しかし、だからこそ姿勢を見せることが大切なのです。
言行不一致になってしまったときに「さっきは言い過ぎた」「ママも守れていなかったね」と認める姿勢を見せるだけで十分です。言行一致を心がけている親のもとでは、子どもは「言葉には責任が伴う」ことを、自然と学んでいきます。親の言語化に対する誠実な姿勢は、子どもにも確実に受け継がれていくでしょう。