お金は、ただ貯めれば安心できるわけでも、好きに使えば人生が豊かになるわけでもありません。では、いつもご機嫌な人は、何にお金を使っているのでしょうか。ポイントは、あとからも自分の中に残り続ける「体験」にあります。今回は、「体」「時間」「環境」「思考」「心」「人間関係」をととのえるための具体的な習慣術を書いた『ととのえる。』(川田直樹著・ダイヤモンド社)から、人生を豊かにするお金の使い方について抜粋・編集して紹介します。(構成/ダイヤモンド社・井上敬子)

夜使う3000円と、朝使う3000円。「いつもご機嫌な人」はどちらを選ぶ?Photo: Adobe Stock

「浪費」と「投資」の見極め方とは?

 少しずつ貯蓄や運用に回せる余裕が出てくると、今度は「せっかくだからパーッと使いたい」という気持ちが芽生えることがあります。

 しかし、ここで注意したいのが、いわゆる「浪費」と「投資」の境界線です。

「お金を使おう」と思ったとき、ついやりがちなのが、無駄に高いブランド品を買ったり、必要以上に高スペックな家電をそろえたりといった「もの」への散財です。もちろん、それらが本当に自分の心をときめかせ、長く愛せるものであれば素晴らしい買い物です。しかし、もしもそれが一時的な見栄やストレス発散によるものであれば、むしろ心はすさんでいきます。

 僕が考える、最も意味のあるお金の使い道。それはものではなく、「自分だけの体験・経験」に投資することです。これが最も大きなリターンを生みます。

 たとえば、僕はサウナの独自の体験を求めて世界を旅したり、日頃行ったことのない場所へ足を運んだりすることには、お金を惜しみません。

 なぜなら、ものは古くなれば価値が下がりますが、一度自分の中に蓄積された体験は、一生消えない資産になるからです。オリジナリティのあるエピソードや、その場で感じた一次情報は、ビジネスにおいてもプライベートにおいても、自分だけの独自のセンサーを養ってくれます。博打のような散財に走るくらいなら、自分の感性をチューニングできるような、新しい経験にお金を使ってみてください。

 とはいえ、「体験への投資」といっても、海外旅行や高額なセミナーなど、大がかりなものである必要はありません。人生を変えるのは、一回の派手なイベントよりも、日常の中の小さな選択の積み重ねです。

 今すぐできる、簡単かつ効果的な方法は、「夜の消費」に使っていたお金を「朝の再生」に振り向けることです。

「夜の消費」から「朝の再生」へシフトする

 齢を重ねてわかったのは、夜の消費よりも、朝の再生にお金を使うほうが幸福度は比べ物にならないほど高いということです。

 かつての僕は、金曜の夜といえば「1週間のストレス発散だ!」と、二次会、三次会と深夜まで飲み歩き、1回で1万円以上使うことも珍しくありませんでした。

 しかし、そうして夜に使ったお金は、多くの場合、翌日の二日酔いやパフォーマンスの低下という形で「浪費」となって消えていきます。記憶も曖昧な数時間の共有に、多くのお金と翌日の活力を注ぎ込んでいたのです。

 もし、その夜の飲み代のうちの数千円を、思い切って「翌日の朝」に持っていってみたらどうでしょうか。

 たとえば、週末の朝。いつもより少し早く起きて、普段は行かないようなホテルのモーニングビュッフェに3000円使ってみる。あるいは、おしゃれなオープンカフェでコーヒーを飲みながら読書をしてみる。

「うわあ、今日は特別なことをしているな」。そうやって体と心が喜んでいるのを実感できる時間は、夜のどんちゃん騒ぎとは質の違う、深い充足感を与えてくれます。

 この「朝のととのい」は、その日1日の判断力や感情をフラットにし、足取りまでもを軽くしてくれます。

 会社だけに縛られず、個人の名前で仕事をしていく時代。

 不確実な世の中だからこそ、まずは自分のポートフォリオをととのえ、朝の自分に投資する。その習慣が、あなたの人生の景色を、もっと清々しく、軽やかなものに変えてくれるはずです。