「話が通じない相手」に正論より効くこと〈風、薫る第107回〉

直美と吾郎の子どもの名前は

 直美がふらついて、りんは直美を家に連れて帰る。直美を看病していると、吾郎が帰ってきた。

 りんに環の名前の由来を聞く吾郎。

「人の輪をつなぐ子になってほしくて、環とつけました」

 そうだったのかー。

「へえ。いいですね。明治生まれらしい」と感心する吾郎。明治生まれらしいってどういう意味だろう。

 吾郎は、男の子なら章太郎、栄一、女の子ならトミ、ハルもいいなと、たくさん名前をメモして、それを大事に持ち歩いていた。栄一は渋沢栄一からであろう。

 直美にはまだ言えていない。相談しようとしたが、「それはじっくり考えよう」とはぐらかされたのだ。これは捨松が広島に行く前の場面だ。

 すぐボタンがとれてしまう吾郎に、戦地に行ったらどうするの?という話で、「困ったお父さんですね」「おーい、お母さん怖いぞ。覚悟しとけ」などとふざけ合う。

 とても仲良しそうなのに、名前に関して直美が乗ってこなかった。

「直美さんにとって、名前は……」とりん。

「はい。大事なものですよね」どうやら吾郎も事情を知っているようだ。

 直美は親に名前をつけてもらえなかったことをずっとコンプレックスに思っていた。あとで、それは母なりの思いがあってのことだったとわかるのだが、名付けとなると構えてしまうのかもしれない。

 直美と吾郎の子どもはどんな名前になるだろう。

「話が通じない相手」に正論より効くこと〈風、薫る第107回〉