『風、薫る』第77回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第77回(2026年7月14日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)
主人公がまさかの退場、多江は「私はやめない」
椅子から徐々に院長室全体が映る。
「体に支障が出て、職務を全うできない」という理由でりん(見上愛)は自主的に退職を申し出た。もうすでに制服を着ていない。彼女の強固な意志が感じられる。
院長(筒井道隆)は「仕方がありません。即時退職を求めます」。まあそれは、副院長(森田甘路)の思惑どおりであったわけだが。
「誠に残念ですね」という言葉が虚しく感じられた。
看護詰所にやって来るりん。多江(生田絵梨花)とトメ(原嶋凛)が心配そう。
「私はずっと辞めないから」と多江。
「ここで出世して、看護婦総取締って役職を作って、この病院の、いいえ、この国の看護のトップになって、日本のナイチンゲールになる」
看護婦のトップになった暁には、りんをまた雇ってあげるからと言う多江。
そう、日本ではじめて看護婦を目指した者たちは、最初は7人いたが、徐々に退場していった。そして、主人公が退場してしまうのは、前代未聞かもしれない。
トメは、多江の実家の病院を継いで、婿をもらうとふざける。
「お婿さん来るかなあ」
「来るって」
そういえば、誰も結婚していない。やっぱり、看護婦という仕事は激務なこともあり、結婚との両立は簡単ではなかったのかもしれない。
次に、フユ(猫背椿)とヨシ(明星真由美)が入ってくる。このふたり、ほんとうに芝居がうまく、いま、情報を耳にして驚いて駆けつけたという感じがよく出ている。そして、とても惜しいという表情もナチュラルだ。
「ほんとだ、着物着て」と言うセリフもさりげなくうまい。こういうセリフは普段だと口からつい漏れるものだが、演技でやると不自然になりがち。でもすごく自然だった。病院編を支えた立役者は猫背椿と明星真由美だと思う。







