医療従事者が腕から採血している様子写真はイメージです Photo:PIXTA

健康診断の結果を見て、「クレアチニン」の数値を気にしたことはあるだろうか。腎臓の状態を知るための重要な指標で、2027年からは一般健診の必須項目にも加わる予定だ。だが、腎臓専門医である筆者によれば、この数値だけを見ていても、腎機能を十分に把握できないという。では、自分の腎臓の状態を知るために、健診結果のどこをチェックすればいいのか。※本稿は、医師の上月正博『長生きは腎臓が10割 腎機能を高めて健康寿命を延ばす最高の習慣』(Gakken)の一部を抜粋・編集したものです。

腎臓が元気に働いているか
健診で注目すべき2つの項目

 腎機能を守るためには、日頃からのケアと定期的な健康診断による異常の早期発見が重要です。

 腎臓が元気に働いているか、健診で注目すべき項目は2つあります。慢性腎臓病の診断にも用いられる「血清クレアチニン」と「尿たんぱく」の数値です。

 クレアチニンは、エネルギー代謝によって発生する老廃物です。腎機能が低下すると老廃物の排出が不十分になり、血液中のクレアチニンが増加します。

 eGFR(編集部注/腎臓が血液をろ過する能力の程度を示す推算値)算出にも用いられるクレアチニン値は、特定健診では2018年度から追加健診項目に加わりました。2027年4月からは、一般健診の検査項目にも必須項目として追加される予定です。

 ただし、クレアチニン値に問題がなくても、腎機能が正常だとはいいきれません。もう1つのチェック項目である尿たんぱくも重要だからです。

 腎臓が正常に機能していれば、体に必要なたんぱく質が尿へと漏れ出すことはありません。しかし、糸球体のろ過機能が低下するとたんぱく質を通してしまい、尿に混じるようになります。

 なお、糖尿病を患っている場合は、クレアチニンや尿たんぱくを調べるだけでは腎機能の低下を見逃す恐れがあります。一般的な健診では行わない微量アルブミン検査なども必要です。糖尿病の専門医に、定期的に調べてもらうようにしましょう。

検査の結果からわかる
慢性腎臓病の診断基準とステージ分け

 慢性腎臓病の診断は、下の診断基準(1)(2)のいずれか、あるいは両方が3カ月を超えて満たしていることが基準となります。

(1)明らかな腎障害

 尿検査、血液検査などから、明らかに腎臓に障害がある場合(尿たんぱくが0.15g/gCr以上、またはアルブミン尿が30mg/gCr以上)。※単位のg/gCrは、クレアチニン(Cr)の1日の尿中排泄量が1gであることを利用し、尿のなかのたんぱくやアルブミンをCrの量で割り、1日の尿たんぱくや尿中アルブミン量を推算したもの。

(2)腎機能の低下

 GFR(腎臓の糸球体が1分間にろ過できる量)が60mL/分/1.73m2未満の場合。※単位のml/分/1.73m2は、標準的な成人の(1.73m2は標準的な成人の体表面積)、1分間に行われている(分)ろ過量(mL)を表したもの。

 診断基準の(1)は腎障害、(2)は腎機能の低下に関係したものです。GFRは腎臓の糸球体が1分間にろ過できる量の指標で、健康な腎臓を100として算出します。正確に調べるにはかなりの手間を要するため、日常の診療では推算量であるeGFR(推算糸球体ろ過量)が用いられます。eGFRは血液検査で調べられるクレアチニン値に、性別と年齢を加味することで求められます。

 GFR(eGFR)は、慢性腎臓病の進行度を示すステージ分類にも使われます。ステージは6段階に分かれます。

 もっとも進行したG5は、重度の機能低下(高度低下)や末期腎不全が該当します。末期腎不全まで至ると、腎臓はほとんど機能を失い、人工透析や腎臓移植が必要になります

 なお、G1やG2だったとしても、(1)の尿たんぱくなどの異常がある場合は慢性腎臓病と診断されます。

図表:慢性腎臓病のステージ分け同書より転載 拡大画像表示