業績、株価、賃金、就職… 5年後の業界地図 AI格差で序列激変!?#4Photo:Shannon Fagan/gettyimages

高収益企業がそろう医療機器セクターだが、世界的な医療財政の悪化や中国市場の成長鈍化など業界を取り巻く環境は厳しい。果たして5年後に躍進する企業はどこか。特集『業績、株価、賃金、就職… 5年後の業界地図』の#4では、テルモ、オリンパス、島津製作所、シスメックス、朝日インテックなど主要企業の動向を分析。値上げやM&A、海外での成長などキーワードを紹介しつつ、仕組みを武器に躍進が期待できる企業、このままでは厳しい企業についても具体名を挙げて解説する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

医療機器は「値上げ力」で明暗の時代に
「海外市場拡大」「M&A」にも注目

 世界シェアの高い低侵襲の治療用デバイスを武器に成長してきた医療機器業界。中国市場の拡大という追い風にも乗り、2021年ごろまでは業績、株価共に右肩上がりが続いていたが、この数年は成長の勢いに陰りが見え始めている。

 医療機器メーカーの成長をけん引してきた中国市場については、すでに単純に成長市場とは捉えにくい状況だ。国主導で機器を大量購入して価格を抑える「集中購買」などの政策により、価格抑制が続くことがニューノーマルになっている。

 世界的な医療財政の悪化など、業界を取り巻く環境が厳しくなる中、今後5年軸で医療機器メーカーに必要なことは何か。

 野村證券の森貴宏アナリストは医療機器メーカーに必要なこととして「値上げ」と「M&A」の二つを挙げる。医療財政の厳しさが変わらない中、インフレ時代に突入したことで優勝劣敗が加速しやすくなっているからだ。

「適切な値上げをして収益力を向上させるためには、マーケットに受け入れられる製品を提供する必要がある。また、稼いだキャッシュをどう使うかも焦点になる。相乗効果のあるM&Aを実施しつつ、その裏で事業売却や整理を進めることが重要だ。足し算と引き算、両方にうまく取り組む必要がある」(森氏)

 SMBC日興証券の徳本進之介アナリストは米国とインド太平洋地域での成長に注目する。

「かつて業績をけん引した中国市場の成長は期待しにくい。米国市場での成長に加えて、今後は市場が拡大するインド太平洋地域で、台頭する中国企業に負けない存在感を発揮できるかどうかが焦点になる」(徳本氏)

 下図は各社の売上高の地域別の構成である。米国が一番大きいが、足元は中国を超えてインド太平洋地域の売上高が伸びている。日本は病院の数が減少しているが、例えばインドでは病院の数が大きく増えている。医療水準も向上しており、本格的に医療機器市場が立ち上がりつつあるのだ。

 優良企業が多い医療機器メーカーではあるが、今後5年の大変革の時代を考えると「変化できない企業」にとっては厳しい時代に突入する。果たして、日本の医療機器メーカーは今後も世界で存在感を発揮して、業績を中長期で伸ばすことができるのか。

 次ページでは、今後5年間で躍進が期待できる企業、現状のままでは失速しかねない企業についてトップアナリストが具体名を挙げて解説。さらに医療機器セクターの課題や、年収など待遇の変化についても予測する。

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