どうしても大きくなりたければ、成長する中で殻を大きくしていくしかありません。

巨大化を阻むと考えられた
もうひとつの壁は「気管呼吸」

 そこで、まさに昆虫はこの殻を育てるために脱皮します。殻が外にあるせいで、硬い殻を一度脱がないと、新たな殻を成長させられないからです。しかし内側に骨がないということは、家で言えば柱が1本もない外壁だけの建物のようなものです。あまり大きくし過ぎると自分の体重を支えられず、潰れてしまいます。

 とはいえ、いくらなんでも昆虫って小さ過ぎる気もしますよね。

 実は大昔の昆虫は今より大きかったのです。なので昆虫が小さい理由で、有力なのは2つ目の説です。

 それは、肺がないからという説です。

 では、どうやって昆虫は呼吸しているのでしょう。

 彼らは気管呼吸という方法で呼吸しています。昆虫の体には無数の小さな穴が開いており、そこから気管という空気の管が血管のように全身に張り巡らされており、酸素を取り入れています。この呼吸方法が原因で、昆虫には血管がないですし、血も赤くありません。

 そもそも人間の血が赤いのは、酸素を運ぶための赤血球内のヘモグロビン中の鉄イオンが酸素と結びつくことで、鉄がいわば酸化して、赤くなるからです。錆びた鉄が赤いのと同じ原理ですね。

 しかし昆虫は血液という回りくどい方法を取らなくとも、気管から直接酸素を全身に回せるので血管は不要で、血には酸素が混ざっていません。そのため、血は透明か薄緑が多いですね。つまり、虫を潰した時のあの透明な液体は血だったのです。

 ではどうして肺がないと巨大化出来ないのでしょう。

 まず、昆虫は酸素の濃度勾配で酸素を全身に運んでいます。濃度勾配とは、濃度が均一になろうと勝手に混ざる物理現象のことです。コーヒーにミルクを入れて勝手に混ざるのを待つように、昆虫の体の中では酸素濃度が均一になろうとして、勝手に酸素が身体中に拡散していくのです。これは酸素供給にエネルギーが必要ないという点でかなり優れています。