外骨格と気管呼吸は
昆虫の巨大化を阻むのか?
呼吸にエネルギーが必要ないというのは、実はかなりすごいことです。エネルギー不要でエネルギーを作れるのですからね。しかし、肺がないから空気を強く吸い込めません。というか昆虫は酸素が全身に行き渡るのを待つしか出来ません。
だから体のサイズが大きいと、全身に十分に酸素が届かず巨大化出来ないわけです。より詳しく言うと、体が大きくなればなるほど体積あたりの空気を吸い込める表面積は小さくなるので、この呼吸法は表面積が大きく、体積が小さい小型生物にしか使えないのです。
そう考えると、一概に最高の呼吸法とは言えませんね。
逆に言えば、空気中の酸素濃度が高いと巨大化出来る可能性があります。実際、3億年前の地球の酸素濃度は今の1.5倍だったとされ、太古に生息したメガネウラというトンボは全長70cmもあったと言われています。取り入れられる空気が少しでも、その分、酸素の濃度が高ければ巨大化出来るというわけですね。
『生命・地球・植物・動物・宇宙をめぐる46億年の物語 科学の教養大全』(九和 律 Gakken)
巨大化すると酸素が足りなくなるのなら、殻をうねうねさせて空気を取り込む表面積を大きくして、酸素吸引量を増やして巨大化するという戦略はどうでしょう?これだと、肝心な外骨格の「体を支える」働きが出来なくなります。外壁がうねうねした家が構造的に強いわけがありませんからね。
ただ、表面積を増やして酸素吸引量を増やすのは良いアイデアです。まさにそれをしているのが人間などの肺です。人間の皮膚は2平米しかないのに、肺の表面積は70平米にも達し、肺の中で凄まじい量の空気を吸い込んで血管に渡しています。
というわけで、昆虫は自分の殻にこもっているせいで大きくなれないのです。
大きくなるためには、一皮剥けないといけないという、なんだか現代人にも刺さるような理由でした。







