「まだ入社して数年なのに、なぜあんなに仕事ができるのか」。普通に考えれば、仕事は経験を積んだ人ほど有利なはずなのに、10年、20年働いてきた人より、経験の浅い若手が圧倒的な成果を出すことがあります。この逆転は、なぜ起きるのでしょうか。漫画家・かっぴー氏の著書書籍『天才になれなかった全ての人へ 自分だけの武器が見つかる才能論』で紹介されている「天才状態」という考え方から解説します。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)

「優秀な若手」はなぜベテランを簡単に抜くのかPhoto: Adobe Stock

「経験値」が多ければ勝てるわけではない

ベテランには、若手にはない経験があります。

過去の成功や失敗を知っている、仕事の進め方もわかっている、トラブルが起きても、過去の経験から対処できる……こうした蓄積は、もちろん大きな武器です。

しかし、経験が豊富だからといって、常に大きな成果を出せるとは限りません。なぜなら、どれほど力を持っていても、それを十分に発揮できていなければ、成果にはつながらないからです。

「天才状態」に入った若手は強い

ここで重要になるのが「天才状態」です。天才とは、一部の特別な人だけを指す言葉ではありません。

本書では天才は、「天賦の才能を持った人」ではなく、別の定義をしています。

自分の能力やポテンシャルを100%発揮しながら、自然な状態で、周囲に価値を生み出せている。そんな状態を「天才状態」と考えます。

たとえば、経験値を100持っているベテランが、その力を十分に発揮できていない。一方で、経験値はまだ50しかない若手が、自分の力を100%発揮している。

そうなれば、「経験値が多いベテランが勝つ」という単純な話ではなくなります。若手であっても天才状態に入れば、経験豊富でも天才状態に入っていない人を追い抜くことがあるのです。

若手でも「100%の力」は出せる

天才状態に入る第一条件は、「自分の能力やポテンシャルを100%ワークさせること」です。ここに年齢は関係ありません。

若手はベテランより経験が少ないかもしれません。しかし、任された仕事に全力で向き合い、考えられるところまで考え、自分の持っている力を出し切ることはできます。反対に、経験豊富でも「これくらいで十分だろう」と力を出さなくなれば、持っている能力は成果になりません。つまり、「どれだけ持っているか」と「どれだけ使っているか」は別の問題なのです。

ベテランが負けるのは「能力が落ちたから」とは限らない

若手に追い抜かれると、「自分も年を取った」「若い人には勝てない」と考えてしまう人がいます。しかし、年齢だけが原因とは限りません。自分が天才状態から外れているだけかもしれません。

だから、自分より若い人が成果を出していても、年齢差だけを見て焦る必要はありません。見るべきなのは、「自分は今、天才状態に入れているか」です。能力を100%発揮できているか。無理のない自然な状態でいられているか。周囲に価値を生み、その手応えを得られているか。この3つを見直す必要があります。

「優秀な若手」がベテランを簡単に抜くのは、若さそのものが理由ではありません。仕事で本当に見るべきなのは、「何年やってきたか」ではない。「今、どれだけ自分の力を発揮できているか」なのです。