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猫背でいると呼吸が浅くなり、さらに気分が沈みやすくなるという。姿勢と呼吸がメンタルに与える影響について見ていこう。※本稿は、順天堂大学医学部特任教授の小林弘幸『メンタルは肉体が9割』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。
猫背になると
心まで沈みやすくなる
気分が落ち込んでいるとき、人の姿勢は自然と前かがみになります。うつむき、肩が内側に入り、背中が丸くなる。反対に、胸を開いて顔を上げているとき、人は少し前向きな気持ちになりやすいものです。
これは、単なる見た目の話ではありません。姿勢は、自律神経や呼吸・血流に深く関わっています。
背中が丸まった姿勢、いわゆる猫背になると、胸郭が圧迫されます。胸郭とは、肋骨や胸椎などでできた、肺や心臓を守るかごのような構造の骨格です。背中が丸まると、この胸郭が十分に広がりにくくなり、呼吸が浅くなります。
そうなると、息を吸っているつもりでも、肺に十分な空気が入りません。酸素が不足すれば、血流も悪くなり、脳や全身の細胞に必要な酸素が届きにくくなります。すると、頭がぼんやりする、疲れやすい、やる気が出ないといった状態に陥りやすくなるわけです。
さらに、呼吸が浅い状態が続くと、体は緊張モードに傾きます。交感神経が過剰に優位になり、副交感神経が働きにくくなるため、体は休みにくく、心も落ち着きにくくなります。背中が丸まっているだけで、体の中では「リラックスしにくい状態」がつくられているのです。
気づかないうちになっている
「かくれ猫背」に要注意
現代人は、猫背になりやすい生活環境にあるといえます。パソコンでの作業に集中し、スマートフォンをのぞき込む。長時間座ったまま作業をする。気づかないうちに頭が前へ出て、肩が丸まり、背中が固まっていきます。歩いているときの姿勢には意識を向けていても、机に向かう、スマートフォンを見る、考え込むといった場面で、無意識に背中が丸まっている人も多いのです。
猫背でいると、自然と視線が下がりますが、これもメンタル面に悪影響があります。視線が下がると、入ってくる情報が少なくなります。すると目の前の狭い範囲の情報だけに意識が向き、考えも内側へこもりやすくなっていくのです。つまり、背中が丸まると、体の状態だけでなく、世界の見え方まで変わってしまうということです。
もちろん、「つらいことがあったから肩を落とし、背中が丸まってしまう」ということもあります。
しかし逆に、背中が丸まっているから、心がさらに沈みやすくなるという面もある。姿勢とメンタルは、一方通行ではなく、互いに影響し合っているのです。
ですから、気分が落ち込んでいるときほど、まずは姿勢に意識を向けてみてください。無理に明るく考える必要はありません。いきなり元気を出そうとしなくてもかまいません。まず、丸まった背中を少し起こす。胸をほんの少し開く。顔を上げる。それだけで、心の持ちようが少し変わるはずです。







