フランス国債の金利が上昇
極右政権で高まる財政不安

 国内政策では、財政運営が最大の懸念である。現時点でも、欧州委員会によるフランスの財政収支見通しは、他の欧州主要国と比較して突出して悪い(図表3)。こうした財政見通しを反映し、フランスの10年債利回りは2025年後半以降、現時点の債務残高対GDP比でフランスを上回るイタリアなどの10年債利回りを上回って推移している。

 こうした財政状況を改善するためには、フランスの手厚い年金制度を中心とする社会保障制度の見直しが急務とされている。しかし、ルペン氏が当選すれば、そうした見直しの進展は望みにくい。むしろ、RNはマクロン大統領の行った年金改革を巻き戻し、年金支給開始年齢を引き下げることを主張している。

 EUの財政ルール(安定成長協定)では、加盟国は財政赤字を対名目GDP比で3%以内に抑える必要があるが、ルペン政権下では財政ルールからの逸脱は避けられないだろう。EUからの制裁対象となった場合、フランスに対する各種補助金の停止や、最悪の場合には制裁金が課される可能性もある。

 この場合、制裁の直接的な影響に加え、財政への懸念が一段と高まり、実体経済にも悪影響を及ぼす可能性がある。財政悪化や内政の不安定化を受け、近年は主要格付け会社によるフランス国債の格付け引き下げが相次いでいる。今後も格付けの引き下げが続けば一段の金利上昇は避けがたいほか、フランス国内の金融機関を中心に金融システムに悪影響を及ぼすおそれもある。