国民議会で行われたフランス政府に対する質疑応答に臨む国民連合のマリーヌ・ルペン代表=6月16日、フランス・パリで Photo:NurPhoto/gettyimages
「国民連合」躍進の背景
2027年春のフランス大統領選挙まで1年を切るなか、「極右」と呼ばれる政党・国民連合が、フランス大統領府の座に手をかけようとしている。だが、この現象を「極右台頭」の一言で片づけるのは正確ではない。フランスで起きているのは単なる右傾化ではなく、フランスが本来持っていた国家観への「先祖返り」である。
そして、よく比較されるトランプ現象と重なるところは確かにあるが、目指す先は根本的に異なる。この違いを見落とすと、2027年に向けたフランス政治の本質を見誤ることになる。
これまで国民連合のマリーヌ・ルペンは、決選投票に進出しても最後は「反極右連合」によって敗れる候補と見られていた。2017年も2022年も、エマニュエル・マクロンがその受け皿となり、ルペンを退けた。
だが、2027年の大統領選は事情が大きく変わっている。マクロンは任期制限で出馬できず、中道、穏健右派、左派はいずれも分裂している一方、ルペン率いる国民連合が着実に支持を広げ、世論調査では第1回投票で首位に立つ可能性が高まっている。
かつてはルペンを退けていたマクロン陣営の求心力が、任期中の改革の失敗や国民との断絶によって急速に霧散している。いわば、国民連合は「選ばれている」というより、既存エリートの失敗によって「最後に残された選択肢」と化している。
ただし、ルペン本人は、欧州議会資金流用事件で被選挙権停止処分を受けており、控訴審の行方次第では2027年大統領選への出馬が困難になる可能性が高い。その場合でも、若き党首ジョルダン・バルデラが後継候補になると見られる。
バルデラ氏は、ルペンが抱えてきた「極右の負の遺産」を払拭し、TikTokなどのSNSを巧みに使い、穏健で洗練されたイメージを前面に出しているこの戦略的シフトもまた、国民連合がかつての「過激な辺境勢力」から「中央に座るべきメインストリーム」へ変貌した証左だといえる。
ルペンが大統領になるかどうかはともかく、彼女が育て上げた国民連合という政治勢力が、いよいよフランス大統領府に近づいているということなのである。







