フランスの極右政党「国民連合(RN)」の実質的指導者であるマリーヌ・ルペン氏 Photo:NurPhoto/gettyimages
来年のフランス大統領選で
「ルペン大統領」に現実味
フランスの2027年大統領選が、欧州政治と国際金融市場の新たな火種になりつつある。
極右政党「国民連合(RN)」の実質的指導者であるマリーヌ・ルペン氏は、欧州議会議員時代の公的資金の不正流用に関する疑惑で、2026年7月の控訴審でも有罪判決を受けた。しかし、控訴審は第一審で下された被選挙権の停止期間を5年から45カ月に短縮したうえで、30カ月の執行猶予部分を除いた実刑部分に当たる15カ月は既に履行済みであると認定し、同氏が2027年4月の大統領選に出馬する道を残した。
ルペン氏は判決直後、上告したうえで大統領選に出馬する意向を表明。これにより、RNの大統領候補は、現党首で後継者と目されていたジョルダン・バルデラ氏ではなく、ルペン氏となることがほぼ確実となった。
大統領選の行方は、フランス国内の政治問題にはとどまらない。フランスは欧州連合(EU)第2の経済大国であり、ドイツと並ぶEUの中核国である。その大統領職に反EU色の強い極右候補が就けば、EUの政策運営やウクライナ支援への影響は大きい。
また、ルペン氏はポピュリスト政治家でもあるため、財政拡張的な政策を採りやすい。同国の財政規律が緩み、金融市場で混乱が広がった場合、その影響は欧州域内にとどまらず、日本を含む世界の長期金利にも波及し得る。
「反極右票」でも止められない
極右候補が首位を走る異例の展開
ルペン氏の人気は絶大だ。2027年大統領選の第1回投票で誰に投票するつもりかを尋ねた直近の世論調査では、ルペン氏に投票すると答えた割合は35%に上り、他の候補者を大きく引き離して首位を走っている(図表1)。
一方、中道・穏健勢力の支持は伸び悩んでいる。現時点では連立与党・中道右派「地平線」のエドゥアール・フィリップ元首相、連立与党・中道「再生」のガブリエル・アタル元首相、中道左派で欧州議会議員のラファエル・グリュックスマン氏などが出馬の意向を示しているが、支持率はルペン氏に遠く及ばない状況だ。
なお、フランス憲法は大統領の連続3選を禁じているため、現在2期目を務めるエマニュエル・マクロン大統領は出馬することができない。
フランスの大統領選では、第1回投票で得票率が過半数を占める候補がいない場合、上位2人の間で決選投票が行われる。第1回投票では純粋に「大統領になってほしい」候補者に投票する有権者が多い一方で、決選投票は「大統領になってほしくない」候補者の対抗馬に投票するという「不人気投票」の側面を持つ。そのため中道勢力は、決選投票では「反極右票」を集約することで逆転が可能であると踏んでいるとみられる。
実際、前回の2022年大統領選挙では、第1回投票で約800万票を獲得し2位につけたルペン氏の決選投票での得票数は約1300万票と500万票の伸びにとどまった一方、マクロン氏は約1000万票から約1900万票へと約900万票伸ばしており、第1回投票で3位以下となった候補者の支持者のおよそ3分の2から票を集めた。








