仏マリーヌ・ルペン氏への有罪判決は「魔女狩り」か、国を超えてルペン支持が広がる本当の理由【池上彰・増田ユリヤ】2025年4月1日、ブルボン宮殿で行われたフランス国民議会での政府への公開質問会におけるマリーヌ・ルペン氏(左) Photo:Hans Lucas via AFP/JIJI

政治とカネの問題
フランスで有罪判決

増田 日本でも政治とカネの問題が尾を引いていますが、フランスでは2027年の大統領選挙に出馬するとみられていた国民連合の前党首、マリーヌ・ルペン氏が罪を問われていた公金流用に関する裁判で有罪判決が下りました。

池上 ルペン氏は欧州議会の現職・元議員8人と、その元秘書計12人と共に有罪判決を受けることになりました。欧州連合(EU)議会の議員だった04年から16年にかけて、公設秘書の給与のうち410万ユーロ(約6億7000万円)を党の活動資金に流用した罪に問われたものです。

 私的に流用したという話ではなく、党内での資金の使い方の問題ではあるのですが、BBCニュースによれば、フランスは公金の不正使用に対する厳罰化を行ったさなかだったようです。

増田 判決で言い渡されたのは、罰金と禁錮4年(うち執行猶予2年)。ルペン氏は直ちに控訴しました。控訴中は、刑の執行は保留されますが、同時に被選挙権を5年間停止する判決も受けており、27年の大統領選出馬は極めて厳しい情勢になっています。

池上 増田さんはフランス取材で、国民連合やルペン氏の人気を実感する場面があったのではないですか。

増田 はい。現在、国民連合の党首には29歳のジョルダン・バルデラ氏が就任していますが、前党首のルペン氏には熱烈な支持者がいます。集会に参加しましたが、ものすごい熱気でした。有罪判決が出たからといって、支持者が離れるとは思えません。