平面の図(電子式)では見えてこない、分子の「立体的な形(分子構造)」はどのように決まるのだろうか。その秘密を握っているのが、電子同士の「反発」だ。電子たちは互いに近づきたがらず、反発し合う。電子たちの互いの位置取りが、いかにして物質の形を決定づけているのか。ミクロな世界に隠された「秘密」を『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの化学』から分かりやすく解き明かす。

分子のイメージ図Photo: Adobe Stock

分子の形を表現する

電子式は原子間の結合の様子をうまく表しているが、あくまでも2次元の図にすぎず、3次元的な原子の並び方は表現されていない。
その3次元的な原子の配置のことを、分子構造という。

分子構造とは、分子中での原子の3次元的な配置のこと。

1個の原子を中心とした分子の3次元的な形は、VSEPR理論(電子対反発理論)によって予想することができる。電子はそれぞれ負の電荷を持っているため、互いに近づきたがらず、反発し合う。しかし電子が何個もある場合には、できるだけ反発が小さくなるような位置を探すしかない。

VSEPR理論は次のような規則からなる。

・最外殻中の電子対は反発し合って互いに遠ざかろうとする。

・非共有電子対は共有電子対よりも原子核に近いところにあるため、共有電子対よりも強く反発する。

基本的な分子の形
VSEPR理論では、二重結合や三重結合も、単結合と同様に1本の結合として扱う。

分子構造はどのようにして決まるか

原子は互いにできるだけ離れた位置を占めようとする。
たとえば気体のフッ化ベリリウム(BeF2)は、結合を2本持っている。
フッ素(F)原子は互いにできるだけ遠ざかろうとする(電子どうしが反発し合わないようにする)ので、互いに180°の位置を占めて、分子は直線形になる。
仲の悪い2匹の犬を散歩させている様子を思い浮かべてほしい。犬は互いにできるだけ遠ざかろうとするはずだ。

仲の悪い犬二匹

三フッ化ホウ素(BF3)は結合を3本持っているため、直線形では都合が悪い。
3個のフッ素(F)原子が1個のホウ素(B)原子のまわりで、できるだけ間隔を空けて並ぶためには、互いに120°の角度をなす位置を占めればいい。

犬三匹

さらに結合が多い場合でも、電子対は反発し合って、できるだけ距離を取ろうとする。

犬四匹