誰もが陥る「あれあれ症候群」
家族への情報共有も大切

 身辺整理について、いつから相談したらいいのか、だれに相談したらいいのか。

 それを考えたとき、「あれあれ症候群」が、自分にも確実に始まっていることを認めざるを得ませんでした。

「あれあれ症候群」は僕がつけた病名です。

 正式には、「主観的認知機能の低下」という、病気になる二歩手前のもの。

 早い人は40代ぐらいから始まります。

 実際にこのころ検査をすると、アミロイドβの蓄積が起きているので、認知症が始まりかけていると考えたほうがいい。

 さらに進むと、認知症一歩手前のMCI(軽度認知障害)というものになります。

 現在の僕の状態は、認知症の二歩手前ということですね。

 例えば、俳優の名前が、すぐに出てこない。

 僕は映画が大好きで、昔は監督の名前も俳優の名前も、ぱっと口から出てきたのに、少し考えないと思い出せない。

 グーグルで検索すれば、すぐに答えは出てきます。

 検索して、「ああ、そうだった」と確認する。

 でも、3カ月後には、また思い出せなくなって、ふたたび検索する。

 グーグルがなかった時代は、覚える努力をしていました。

 もともと記憶力がいいほうではなかったから、メモを取ったり、頭の中を整理したりしていたのです。

 テレビのコメンテーターの仕事でも、それなりに格好のつく話ができるように準備していました。

 ところがいまは、AIがあります。

 僕は「パープレキシティ」というAIを使っています。

『身辺整理』書影身辺整理』(鎌田 實、明日香出版社)

 日本円にして月に2000円ほどの、いちばん安いプランですが、ちょっとした調べものには、本当に便利です。

 しかし、便利になったぶん、「あれあれ症候群」は、むしろ進んだ気がしています。

 これはまずいなと思って、いろいろと息子に相談するようになりました。

 妻にしても、少しずつ「あれあれ症候群」が出てきています。

 妻は娘に相談し、自分が万が一死亡したとき、あるいは認知症になったとき、「こうしてほしい」ということを、きちんと伝えているようです。