(4)事前言い訳――言い訳を先に用意しておきたい欲求
学生時代、テストの直前に勉強ではなく急に部屋の片づけをしてしまった。仕事を早くやらなければいけないのに、関係ないメールのチェックに時間を使ってしまった。
こういう経験は、誰しもあるのではないでしょうか。本来やる必要がないのに、自分で勝手にタスクを増やしてしまった、と後悔するあの状況です。
確かに、簡単に完結できることを1つ終わらせて達成感を得ることで、脳内にドーパミンが出て頑張れる、という効果もあります。
ただ実際は、「できなかった時の言い訳を先に用意する」という、心理学の「セルフハンディキャッピング」と呼ばれる効果が真因でしょう。できなかった時に「自分の能力の問題」だったからと思われるのを避けるために、「時間がなかったからできなかった」という最も一般的な言い訳を先行して用意しておきたい。そのために、本来は優先順位が高くないことに取り組み、自ら忙しい状況をつくり出してしまうのもよくある話です。
人はすべてを合理的に判断できない
感情が行動と判断を左右する
組織において、一人ひとりが持っている情報や、見えている視界は異なります。
経営陣が大事だと思っていること、マネジャーが大事だと思っていること、メンバーが大事だと思っていることはそれぞれ異なります。視界が異なるがゆえに、「良かれと思っての工夫」が積み重なりやすいのです。
その結果、誰も頼んでいない仕事が生まれ、本来の目的が遠のく。この膨張と迷走こそが、アクティブ・ノンアクション(編集部注/忙しく動いているが、目的意識を伴った行動はできていない状態)を生む温床です。
『マネジャーのための時間管理術で最高のチームをつくる方法』(川内正直、翔泳社)
かつての経済学では、人間は「完全合理的な経済人」だと考えられていました。常に物事を合理的に考え、経済的な利得を少しでも多く得ようと判断し、行動するのが、「完全合理的な経済人」です。
しかし、今世紀になって注目されるようになった「行動経済学」では、人間は「限定合理的な感情人」であり、ある程度の合理性は持つものの、最終的には「感情」で判断や行動が大きく左右される生き物だとされます。
この「感情人」という前提に立つと、成果の出ないアクティブ・ノンアクション状態に陥りやすい理由がより理解しやすくなるのではないでしょうか。決して組織のパフォーマンスを下げたいわけではないのに、「もっと良くしたい」「変に思われたくないから頑張る」などと、本来の目的や目標からズレたアクションだけが増えてしまうのです。
そして、この「頑張っているけれど成果が出にくい」という問題は、どの組織でも発生しうるものですし、組織がうまくいかない、成果が出ない大きな原因であることは間違いありません。







