パソコンとビジネスマンの手元写真はイメージです Photo:PIXTA

カレンダー、ToDoリスト、イフゼンプランニングなどの時間術は、誰にでも効果的なわけではない。人によって効果のある時間管理術が異なるからだ。長年誤解され続けてきた「時間」の正体を探ることから始めると、最適な時間管理術が見つかる。カレンダーやToDoリストが効く人の特徴は? 鈴木祐『YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』(河出書房新社)から一部抜粋・編集して紹介する。

そもそも、私たちが感じる「時間」の正体とは?

 人間の脳は、過去と未来の変化率を高速で計算し続けており、そのプロセスを、私たちは時間が流れる感覚として体験します。映画館で秒間48コマの静止画を続けざまに観ることで、ひとつなぎの動きを感じられるのに似た現象です。

 脳が持つ確率の計算機能を考慮すると、私たちが感じる過去と未来は、こう表現できます。

・未来=いまの状態の次に起きる確率が高い変化を、脳が「予期」したもの
・過去=いまの状態の前に発生した確率が高い変化を、脳が「想起」したもの

 たとえば、ビル解体の専門業者が巨大なビルを解体し、そのあとに瓦礫の山ができあがったとしましょう。

 瓦礫の山を見たあなたの脳は、はじめに記憶のデータベースにアクセスし、「似たような瓦礫の記憶はないか?」と検索を開始。これで引き出された記憶をもとに確率の計算を行い、「これは解体作業によってできた瓦礫だろう」といった過去を生み出します。この作業が「想起」です。

 さらに、あなたの脳は、続けて想起の結果をもとに次に起きそうな出来事の確率を計算しはじめ、最後には「誰かが片づけない限り瓦礫はこのままだろう」のような未来を作り出します。この作業が「予期」 です。

 以上の議論をふまえれば、もはや答えは明確でしょう。そもそも私たちは、過去から未来へ続く時の流れなど体感していません。