「自分はこういう性格だから」と、苦手なことやできないことを諦めてませんか。年齢や経験を重ねるほど、自分自身への見方は固まりやすくなるものです。しかし、それは本当に変えられないものなのでしょうか。本稿では、世界のトップ層を見てきた、エゴンゼンダーのパートナー・元日本代表の丸山泰史氏による新刊『「考えてばかりで動けない」がなくなる真面目の縛りを解く方法』から一部を抜粋・編集し、自分の殻を破るための「最初の一歩」について紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局 井上敬子)

『性格だから仕方ない』は本当? 人はどこまで自分を変えられるのかPhoto: Adobe Stock

「人は変われる」はただの綺麗事ではない

 拙著「真面目の縛りを解く方法」では、世界水準の仕事がデキる人たちが「絶妙ないいかげんさ」を持つことを紹介しています。

 とはいっても、「自分は真面目だけが取りえで、ずっとこうやって生きてきた。今さら自分を変えることなんてできない」――。そんなふうに感じる人もいるかもしれません。

 もしあなたがそう感じているなら、どうか安心して、まず「誰でも、いつでも、変われる」という事実を知ることから始めてください。

「マインドセット」はいつでも変えられる

 ここで、スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授が提唱した「グロース・マインドセット(のびやかマインドセット)」という概念を紹介しましょう。

 マインドセットには、大きく分けて2つのタイプがあります。

【フィックス・マインドセット(硬直マインドセット)】

能力や知性は生まれつき固定されたもので、変えられない」と信じる姿勢です。
 この状態だと、失敗は「無能の証明」になるため、新しい挑戦を避け、賢く「見せる」ことに必死になります。周囲の成功を脅威に感じ、自分の殻に閉じこもってしまいます。

【グロース・マインドセット(のびやかマインドセット)】

知性は努力や経験によって、どこまでも成長させることができる」と信じる姿勢です。失敗は学びのプロセスであり、自分より優れた人は「学びの題材」になります。
 この姿勢を持つ人は、生涯を通じて成長し続け、精神的にも健やかな状態を保てることが研究で示されています。

 重要なのは、これは変えられない性格ではなく、あくまで「マインドセット(物の見方)」だという点です。

 テレビのチャンネルを切り替えるように、あなたが「今日からはグロース・マインドセットでいよう」と決めた瞬間から、あなたの脳は成長のモードへと切り替わるのです。

大人も「発達」し続けることができる

「大人が変われる」ことの科学的根拠は、ハーバード大学のロバート・キーガン教授が提唱する「成人発達理論」にも裏打ちされています。キーガン教授によれば、人間は、成人して社会に出てからも、単に仕事の知識やスキルを増やす(技術的習得)だけでなく、物事の捉え方や、世界を認識する人間としての「器そのもの」を、どこまでも大きく拡大させていく(適応的発達)ことができる生き物であることが示されています。

 キーガン教授が言う「発達」とは、単に知識を増やすことではなく、「自分の主観(思い込み)を客観視できるようになること」を指します。

「完璧」であらねばならないと思っていた主観の縛りから一歩抜け出し、「私は今、100点満点を求めすぎているな」と、他人事のように冷徹に客観視できるようになること。その上で、「今回はあえて、50点くらいで試してみよう」と状況に応じて「いいかげん」のギアを自由自在に選択できるようになること。

 それこそが、大人になってから私たちが手に入れられる、世界基準の「真の意味でのしなやかな強さ」なのです。