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イラン戦争は“泥沼化”中東混乱の代償は
トランプ政権の地政学・産業戦略にも影響
米国・イスラエルの対イラン攻撃は2月末に始まって約半年がたつ。4月の一時停戦と6月の戦闘終結に関する覚書署名を挟んだものの、7月に入って以降は双方が攻撃と報復を再開し合う状況だ。
短期間でイランの「体制転換」を実現するというトランプ大統領の思惑は外れ、戦争の終わりは見えない。
泥沼化の代償は明らかだ。6月下旬から7月初めに70ドルを下回ったWTI原油価格は、イラン情勢の再緊張を受けて90ドル台まで反発し、その後も高値圏で不安定な動きが続いている。
地政学戦略の面でも誤算が生じた。イラン攻撃は図らずもロシアを利する結果となった。原油高と対ロ制裁の停止によって、ロシアの石油セクターの収益は大幅に改善し、ウクライナ戦争を継続する余力を与えた。大統領選で掲げた「戦闘の早期終結」を実現することで、国内外に影響力と存在感を見せつけようとしたトランプ大統領にとっては面白くない状況だ。
より長期的な目線で見れば、今回の中東の混乱は、原油市場の構造そのものを変えかねない影響を持つ。しかも、その変化はトランプ政権の期待とは反対の方向へ進むだろう。
ホルムズ海峡の混乱は、中東以外の産油国による開発や増産を促した。危機収束後には供給競争が激化し、コストの高い米国産原油は市場シェアを奪われかねない。
需要面でも、今回のショックを経て石油需要が危機前の成長軌道へ戻る可能性は低い。脱化石燃料の動きが加速する兆候は、すでに表れている。自らの武力行使が化石燃料需要の縮小を早めるとすれば、バイデン前政権の脱炭素政策を翻して石油・ガス増産を続けてきたトランプ大統領にとって、極めて皮肉な帰結となる。







