蓄熱槽(注水前)【画像提供:JR東日本】
JR東日本は8月27日、高輪ゲートウェイシティにおけるBCP(非常事態における事業継続計画)推進と、ゼロカーボン達成に貢献するエネルギープラントを報道公開した。鉄道の電力網と都市ガスを組み合わせ、巨大な蓄熱槽やAIによる熱源機器の最適制御も導入。災害への備えと省エネを両立させるエネルギーマネジメントの全貌とは。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
鉄道の電力網とガスで
「災害に強い街」をつくる
JR東日本は2020年、2050年度のグループ全体のCO2排出量実質ゼロを目指した「ゼロカーボンチャレンジ2050」を発表。2022年に「エネルギービジョン2027~つなぐ~」を制定し、グループでエネルギーを「つくる」「送る・ためる」「使う」の一貫したネットワークを構築し、環境性・経済性・安定性を向上させ、地域社会に貢献するとしている。
環境・モビリティ・ヘルスケアをテーマに、新たなソリューションを生み出す「実験場」と位置付ける高輪ゲートウェイシティは、ゼロカーボンとサステナブルなまちづくりを先導するプロジェクトに位置付けられている。
筆者の不勉強であるが、高輪ゲートウェイシティで使われる電力は鉄道用の送電網から供給されていることを今回、初めて知った。JR東日本は国内の鉄道事業者としては唯一、自前の発電所を保有している。
総出力約81万キロワットの川崎火力発電所と、総出力約45万キロワットの信濃川水力発電所(新潟)が、同社の使用電力の6割、首都圏では8割を発電しており、自前の送電網で各路線・施設に供給している(残りは東京電力等から購入している)。その一端が高輪ゲートウェイシティにも接続されているというわけだ。
高輪ゲートウェイシティのエネルギー供給・マネジメントを担うのが、JR東日本グループと東京ガスが共同で設立した「株式会社えきまちエナジークリエイト」だ。電力の話だったのになぜガス?と思ったかもしれないが、その理由は、災害時でも電力・熱供給が可能な、電力と都市ガスを併用した自律分散型システムを構築しているからである。
エネルギー設備の立体模型(地下の縮尺はデフォルメされている)(筆者撮影)
高輪ゲートウェイシティは鉄道の電力網から6万6000ボルトの特別高圧で電気を引き込み、各ビルに計4カ所設置した特別高圧変圧器で変圧している。これに加えて、東京ガスが供給する中圧ガスで発電と熱を発生させるコジェネレーションシステム(CGS)を用い、必要な電力を共有している。
停電時は地震に強い中圧ガスで非常用発電機を駆動して、CGSとあわせて平常時の7割程度の電力を確保。電気とガスが止まった場合は、重油を用いた非常用発電機で、5割強の電力を最大72時間供給できる。これら非常用発電機など主要電気設備は上層階に設置し、地下施設も止水扉などを設置して、浸水の影響を受けないようにしている。







