AIを使って最適運転を判断
高輪ゲートウェイの省エネ戦略
では、なぜ東京ガスをパートナーとして選んだのか。その理由は、同社がエネルギーの供給に関して技術やノウハウを持ち、新しいチャレンジ、イノベーションなどにも取り組んでいるからだ。実際、えきまちエナジークリエイトには東京ガスからの出向者もおり、建設から運用まで技術的なフォローをしている。
その象徴が「熱源機器最適制御AI」の導入だ。こうした需要の変動に対し、どの機器を優先して運転すれば効率的か、人が機敏に判断するのは難しいため、東京ガスグループが開発した強化学習型AIを採用した。
このAIは、多種多様な熱源機器の特性を自律的に学習しながら熱源機器が最適に運転するポイントを探索し、出力バランス調整と制御指令をきめ細かく行うことで、CO2排出量とエネルギーコストの削減に貢献する。
AIは供給だけでなく需要側の制御「デマンドレスポンス」も担当する。一般的に電力需給のひっ迫などに対応した電力需給バランスの文脈で語られることが多いが、JR東日本は平常時のデマンドレスポンスに注目した。熱源機器の高効率運転ラインを超えた場合、事前に協力を承諾した需要家(テナント)の空調設備の設定温度を上げ、熱負荷を削減し、エネルギー効率を高める仕組みだ。
高輪ゲートウェイシティのエネルギーマネジメントは今後、どのように展開していくのか。JR東日本TOD企画部TOD戦略ユニット(エネルギー・スマートインフラ担当)の野田幸彦マネージャーは、「これまで取り組めなかったことも含めて色々とチャレンジしている街です。他のまちづくりに展開していけるかも含めて、この街での検証のひとつだと考えています」と答えた。
熱源設備や制御技術を鉄道に活用できるのかについても聞くと、「使い方によってだと思います。これだけ大きな規模の熱が必要な施設は鉄道には少ないかもしれませんが、例えば東京駅みたいな大きな建物では、空調や換気は同じような内容になると思うので、ノウハウを貯めていけば十分に使えるものになると思います」と述べた。
鉄道から生まれた壮大な実験場の成果が鉄道に生かされるのは、まだもう少し時間がかかりそうだが、その日が来るのを期待したい。







