「1日8000歩を歩く」では
筋力アップや健康効果は望めない

 246人の中高年者を対象に「何もしない群」「1日8000歩超を歩く群」「インターバル速歩群」の3群に無作為に分けて5カ月間、その効果を比較した。

 すると「何もしない群」の結果が芳しくないのはもちろんだが、「1日8000歩超を歩く群」も、女性で若干の筋力増加が認められる程度で、スタミナの指標となる最高酸素消費量や生活習慣病などの検査数値の改善に効果はなかった。

 つまり「1日8000歩超を歩く」では、筋力アップや健康効果は望めないのだ。

 一方で「インターバル速歩群」は筋力(大腿四頭筋、ハムストリングス)、最高酸素消費量が向上し、血圧や血糖値も明らかに低下した。特に最低血圧の低下は、今後5年以内に脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などの循環器系発作を起こす確率を40%低下させる値だったのだ。体力の低い人ほどその効果が高い。

全米で大ブーム〈ジャパニーズウォーキング〉の歩き方、1日15分なのに5カ月で「肥満20%改善」インターバル速歩による筋力の変化 出所:Nemoto K, et al., Mayo Clin Proc. 2007(能勢博氏らによる研究) 拡大画像表示

インターバル速歩では
持久力も筋力も向上

「持久性運動では筋肉量が増加しにくいといわれていますが、筋肉量が減り始める30代以降ではインターバル速歩を行うと、持久力だけでなく筋力も増えるのです」

「持久力や筋力が向上することで血圧が低下し、心臓や血管への負担が軽減される。よく眠れるようになったり、関節の痛みが取れたりという作用もあります。全体としてインターバル速歩を5カ月間行えば、体力が最大20%増加し、生活習慣病指標が20%改善することがわかっています」

「効果実感の目安」を最後にまとめた。

 それでも、現在太ってもいないし生活習慣病でもない人は、「筋力が増えること」にあまり興味がないかもしれない。だが筋力、言い換えると体力は20代をピークに30歳をすぎたあたりから毎年約1%ずつ減少し、10年でおよそ1割減るとされる。しかし、脂肪は減っていかない。

 そのため運動習慣がない人は、筋肉が減るにつれて本来筋肉があった部分に脂肪がどんどん入り込む。見た目の体型が変わらなくても、中身は筋肉量が大幅に減少し、脂肪がそのぶん増えてしまうのだ。これはいわばパワー(筋肉)が減って、荷物(脂肪)が重くなっていくようなもの。じわりじわりと体内が老いに向かっている。