普段、「足」を観察することはあるだろうか。実は足の健康が全身の状態に影響を及ぼすこともあれば、全身の不調が足に現れることもあるという。足の病気に関する専門的な知識を兼ね備えた専門医が結集する「下北沢病院」院長の菊池恭太医師に、足に現れる危険な兆候を聞いた。(ジャーナリスト 笹井恵里子)

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足に現れる
4つの「危ない異変」

 足がむくんだり、歩いていると足がだるかったり、またいつの間にか足に黒ずみがあったり……いずれもよくある症状だ。だがこういった症状の中に、危ないサインが隠れているという。

下北沢病院 院長・菊池恭太 医師下北沢病院 院長・菊池恭太 医師/2002年北里大学卒業後、北里大学病院整形外科助教。沖縄県立北部病院でへき地医療に従事。その後、横浜総合病院整形外科医長、同院創傷ケアセンターなどを経て、2016年より下北沢病院足病総合センター長に着任。2024年同院院長に就任。

「特に40代を超えてデスクワーク、もしくは立ちっぱなしの仕事をしている人、それから健康診断で脂質異常などを指摘される人は気をつけてほしい」と、下北沢病院院長の菊池恭太医師は強調する。

 下北沢病院は、整形外科や形成外科、血管外科、糖尿病内科、皮膚科など、足の病気に関する専門的な知識を兼ね備えた専門医が足のトラブルを治療する“足の総合病院”だ。

「20代や30代はまだ若く、特別な注意は必要ない方がほとんどでしょう。また患者さんを見ていると、60代や70代も自分の年齢を自覚して、さまざまなことに気をつけている傾向にあります。ところが40代、50代は『自分は大丈夫』と思っている人が意外と多い」

「例えば『足に静脈瘤(りゅう)(血液の逆流を防ぐ静脈弁が壊れ、血液がたまってコブのようになる状態)ができていますよ』と言うと、『えっ、私がですか』と大体みなさんびっくりした顔をするんですよね。ある程度進んでからでは治療も限られてきますし、病気認定される前の段階で気づいて予防やケアをしてほしいと思います」

 まさしく40代、デスクワークである私も「何となくまだ大丈夫」という意識があったので耳が痛い。そして菊池医師に取材しながら、そもそも私は自分の足をちゃんと見ていないことに気づいた。具体的な「危ない兆候」を言われても、自分の足の状態がわからずピンとこないのだから情けない。

 菊池医師が大きく4つの症状に分けて、病が隠れている可能性、またケアしたほうがいい足の状態を挙げてくれた。自分の足を見ながら確認してほしい。