写真はイメージです Photo:PIXTA
年とともに「ワーキングメモリ」と呼ばれる脳の機能が衰えると、いわゆる「物忘れ」が多くなってくるという。しかしこれは日常のある行為で鍛えることができるというのだ。長年「記憶の仕組み」について研究を重ねてきた大阪大学名誉教授で、大阪大学先導的学際研究機構共生知能システム研究センター招聘教授の苧阪満里子氏に、ワーキングメモリを衰えさせない方法を聞いた。(取材・構成/ジャーナリスト 笹井恵里子)
「人の名前が思い出せない」は
記憶力の衰えではなかった
人の名前がなかなか思い出せない、何のために2階に上がったのか忘れてしまった、友人と会う約束の時間を間違えてしまった……などということはあるだろうか。年を取って記憶力が低下したと思いがちだが、実は「そうではないことが多い」という。
長年「記憶の仕組み」について研究を重ねてきた大阪大学名誉教授の苧阪満里子氏がこう指摘する。
「高齢者は『記憶力が悪い』とよく言われますよね。けれども私たちが介護施設で調査を行うと、こちらが読んだ文章を最初から最後まできちんと復唱できます。一般的な記憶力は衰えていないのです」
行動を達成するまで記憶しておく
「ワーキングメモリ」の衰え
それでは脳の何が衰えていくのかというと、「ワーキングメモリ」と呼ばれる機能だという。苧阪教授は「心の黒板」とも表現する。短い間だけれども行動を達成するまで保持しなければいけないもので、容量はわりと小さいのだとか。
「ワーキングメモリは目標に向かって必要な情報を覚えておくもの。目標行動をスムーズに行うには、記憶することだけに集中するのではなく、ある行動をしながら目標を達成するまで必要な内容を記憶しておくことが必要です」
「行動」と「記憶」のいわば二重課題ができなければならないのだ。
例えば、他のことに気を取られてお茶を沸かしたことを忘れた、携帯をチェックしながら歩いて誰かにぶつかったということは、その二重課題によりワーキングメモリが容量オーバーになっている状態と考えられるという。







