週刊ダイヤモンド
 「正社員になれない非正規労働者は自分に甘えている」「いや、正社員のほうこそ、既得権を手放さないじゃないか」

 今週の特集は、そんな正社員とハケン(非正規社員)の“対立”をテーマにしました。

 非正規労働者などの支援を目的とした「年越し派遣村」が年末年始のメディアを騒がせました。500人以上が入村し、200人以上の生活保護申請が認められ、多くが住居と職を得ることに成功したそうです。

 しかし、「なんで貯金をしていなかったんだ」「それまでの人生で努力をしてこなかった結果だ」という批判、いわゆる自己責任論も聞こえてきます。

 また、その後の新聞などで、職を失った非正規労働者向けに求人を行なったのにほとんど募集がなかったと報道され、「困っているならえり好みするな」との批判も出ています。

 一方で、非正規雇用労働者にも大きな不満があります。特に、1990年代から続いた不況で企業が新卒採用を絞ったせいで、苦境に追いやられている30代、いわゆるロスジェネ世代の論客からは、「正社員が保護され過ぎているから、若者が非正規雇用に追いやられて、貧しくなっている」との主張がなされています。

 いわば、「正社員 vs ハケン」「団塊世代 vs ロスジェネ世代」という対立構造が生まれつつあるわけです。

 さらに、こうした対立構造を、左派の論客や労働組合が「対立しててもしょうがないんだから、国や企業を相手に一緒に戦っていこう」と取りなせば、ロスジェネ世代からは「それは左派のごまかしだ」と再反論が起こるし、そもそも団塊の世代は組合や左派を色眼鏡で見ているという現状があります。

 この“八方塞がり”かのように見える状態は、停滞のようにも思えますが、ひょっとしたら、新しい労働形態を生み出すための“産みの苦しみ”なのかもしれません。取材の過程では、どの主張をする人も「このままではマズイ」と思っているように感じました。

 特集のなかでは、非正規社員が晒されている厳しい環境、一方で正社員が感じている様々な重圧について、その実態を伝えると共に、なんとか解決の道がないか考えてみました。

 我々がこの特集で提示した結論めいたものが、正しいかどうかはわかりません。批判もあるかと思います。読者や識者の方々は、ブログやその他ネットなどで大いに批判や賛同をしていただければと思います。

 これは、おそらく全ての日本人に関係する現在進行形の議論であると思います。この特集と、読者や識者の方々が感じた感想や批判も含めて、それがさらなる議論の進化と、日本の労働者の幸せな行く末のために役立てればと思います。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 清水量介)