「ハイブランドなのに残念な人」と「定番アイテムでも魅力的な人」、服選びのたった1つの違いとは?写真はイメージです Photo:PIXTA

おしゃれになりたい人は、まず「何が流行っているのか?」というアイテムやブランド探しをしてしまいがちです。たとえトレンドの洋服を身につけても、最終的には自分に似合っているかどうかが、見た目の印象を大きく左右します。連載『伝説のスタイリスト・近藤昌の「人生を変える装い」』の第9回では、知名度やスペック頼みではない、自分に合ったキャラクターのつくり方をご紹介します。(スタイリスト&ファッションディレクター 近藤 昌)

40~50代の富裕層にありがちな洋服の選び方

 先日、ある大企業の秘書室から「当社代表のプライベートファッションをスタイリングしてほしい」と依頼を受けました。経営者ご本人は奇をてらった派手なデザインや色使いの洋服が好きで、秘書の方はもう少し落ち着いた服装をしてほしいと考えているということでした。

「普段はどこで洋服選びをしていますか?」と尋ねると、「代表は人目につくのを嫌うので大手百貨店の外商部へ行き、特別室でそこのスタイリストからすすめられたものを買っています」という返答がありました。具体的なアイテム名を聞くとその方の年代に合ったハイブランドの品物の数々が挙がりました。

 確かにハイブランドは高品質の素材を手間暇をかけて丁寧につくっています。長持ちするだけでなく、周りからも「ハイブランドを買える人」として認識されます。お金に余裕があれば、さまざまな面から、ハイブランドのアイテムで安心を担保したい気持ちはわかります。

 例えば、40~50代の富裕層に人気があるスーツのブランドにゼニア(ZEGNA)があります。たしかに良質な素材でつくられています。ただ、よい品物が自分のキャラクターに似合っているかどうかは別物です。

 わたしが経営者をスタイリングするときには、「万人に好感を持たれつつ、どうクライアント独自の魅力が最大限に引き立つか」を考えます。