被相続人の家族に
学歴や職歴を聞く、本当の理由
――他愛ない会話から、次に核心へと近付くためにはどのような会話の工夫を行っているのでしょうか。
一見無関係に思える質問の代表格として挙げられるのは、配偶者の学歴や職歴ですね。「奥さんはどちらの学校を出られたんですか」「学校を出てから、どちらにお勤めだったんですか」
――こうした質問は、実は配偶者名義の預金の「出どころ」を探るための布石です。
専業主婦の方が数千万円規模の預金を持っていることは決して珍しくありません。その資金の原資を直接「どうやって貯めたんですか」と聞いても、身構えられて曖昧(あいまい)な返事しか返ってきません。
そこで先に、学生時代の話や社会人になってからの勤務期間、結婚した時期などを聞いていきます。すると、「2、3年働いてすぐ結婚しました」という話が出てくる。この時点で、ご本人の給与だけでその金額を貯められるはずがないことが、調査官の中で明確になります。なぜ妻がこれだけの預貯金を持っているのか、と次の質問につなげていけるようになるのです。
海外旅行や別荘の話も
隠された資産のヒントになる
――なるほど、お金の動きや流れを明確にしていくために、意外な質問を重ねていくのですね。
そうです。さらに、生前にご夫婦にはどのような趣味があったのかも、自然に会話の中でお聞きします。「海外旅行にはよく行かれていましたか」などの質問です。頻度や訪ねた国などを聞き取る。
すると、頻繁に同じ国に行っている、パスポートのスタンプが多い、といったことから海外に資産を持っている可能性が見えてくることもあります。
実際、海外への送金額が100万円を超えると「国外送金等調書」という記録が金融機関から税務署に提出される仕組みがあり、こうした資料と旅行の話を照らし合わせることで、申告漏れの海外資産にたどり着くこともあります。







