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8月以降は税務署内の大規模な人事異動が一段落し、税務調査の動きが活発化する時期です。インフルエンサーや飲食店といった個人向けビジネスの界隈では、経費を偽ったり、売り上げを隠蔽したりする悪質なケースが後を絶ちません。しかし安易な隠蔽工作は、税務署に見破られています。そこで、元東京国税局税務調査官の菊池悠税理士に、国税局が誇る「追及テクニック」の実態と不正後に待ち受けるペナルティについて聞きました。(聞き手/岩田いく実)

インフルエンサーの収入も一発でバレる
税務署が不正を見抜くポイント

――最近、SNSで華やかな生活をアピールしているインフルエンサーの脱税が話題になることが増えました。彼らはなぜ税務署にマークされるのでしょうか。

 インフルエンサーのように、ここ数年で急に稼げるようになった、目立つ職業ほど税務署は積極的に不正行為がないか監視しています。例として、インフルエンサーの誰か一人が摘発されて報道されれば、同じように稼いでいる他のインフルエンサーたちに対して強い抑止効果が期待できます。

 税務署内部ではよく「一罰百戒」(一人を罰することでその処罰を見せしめにし、多くの人への戒めにするという意味)と表現していました。同時に、「税務署もちゃんと仕事をしていますよ」という世間へのアピールの意味合いもあると思います。

――では、具体的にはどうやって不正を特定しているのでしょうか。「匿名のSNSだからバレない」と思っている方も多そうです。

 それは大きな誤解です。まず、YouTubeなどのプラットフォームからの収益であれば、プラットフォーム側の支払い記録を確認すれば収入が一発でわかります。広告収益にせよ、企業案件にせよ、お金の流れはどこかに記録が残ります。

 さらに、本人名義の銀行口座の入金状況を見れば、収入は簡単に特定できます。加えて意外と見落とされがちなのが、匿名の情報提供です。税務署や国税局には、こうしたタレコミが毎日のように届いています。

 派手な生活を妬んだ知人や、関係が悪化した元従業員、あるいは同業者からの情報提供がきっかけで調査が始まるケースは、インフルエンサーのような事案だけではなく、昔からどのような業種にも起きていることで決して珍しくありません。