富裕層必見!資産防衛&節税術Photo:PIXTA

インフルエンサーが、偽の領収証を使って架空の業務委託費を計上する「B勘定」という手口で脱税を行い起訴されたというニュースが飛び込んできた。偽の領収証を専門の業者に発行させて行う脱税方法で、実は長年横行していたものである。だが、これは税務署に必ずバレる手口で、絶対に手を出してはならない。連載『富裕層必見! 資産防衛&節税術』の第17回ではB勘の危険なカラクリを税理士が解説する。(税理士 吉澤 大)

古典的な脱税手段でもある「B勘定」
架空の領収証を発行させて手数料を振り込ませる手口

 YouTubeやInstagramを開けば、高級車にブランド品、海外旅行と、きらびやかな生活を謳歌するインフルエンサーたちの姿が目に飛び込んでくる。しかし、その華やかな暮らしの裏側で、税務署は静かに牙をむいている。

 最近、フォロワー数十万人を抱える有名インフルエンサーの社長が、約5億円の所得を隠し、1億5000万円を超える脱税の疑いで在宅起訴されたというニュースが世間を騒がせた。その手口として報じられたのが、架空の業務委託費を計上するという、いわゆる「B勘(ビーカン)」行為である。

 B勘とは、本物の領収証である「A勘定」ではなく、偽の領収証を表す「B勘定」という税務署の隠語からきている。この偽の領収証を発行し、手数料をせしめる業者もいて、「B勘屋」と呼ばれている。夜の街で、「思いのほかもうかったんだが、なにか税金を免れる方法はない?」と大きな声で話しているとどこからか「友人がこれでうまくいっている」と紹介され、このB勘屋にたどり着く。

 B勘屋の誘い文句は大抵こんなものだ。「コンサル料や広告費の名目で請求書を出すから、お金を振り込んでほしい。手数料を差し引いた金額をこっそり現金であなたに戻す。そうすれば、支払った経費を損金にして税金の支払いを免れ、自由に使える足のつかないお金が手に入る」と。

 そんなうまい話があるのかという疑問に対しても「うちはきっちり売り上げに計上し、申告をして納税もするから安心」だと説明をする。「それではそちらが税金の支払いで大変なのでは?」という疑問には「実は、多額の赤字の繰り越しがあるので、いくら売り上げを計上しても税金は発生しない」と説明するのだ。実在する会社からの請求書も振り込みの事実もあって、金は現金でもらって足がつかないとなれば、さすがに税務署にも顧問税理士にもバレないのではと考える方もいるのではないだろうか。

 だが、その考えは今すぐ捨てていただきたい。今回は富裕層や会社経営者に忍び寄るB勘屋のワナについて取り上げたい。甘い言葉に釣られてしまうと、取り返しのつかないことになりかねない。その手口を解説するとともに、被害を避ける方法まで詳しく次ページから紹介していこう。