「スマホ依存をどうにかしたい!」と思っているけれど、気づけばSNSや動画を何時間も見てしまう。どうすれば、スマホを見る時間を本当に減らせるのでしょうか。500万DLを突破したアプリ「集中」の開発者で、『脱スマホ術』の著者・戸田大介さんに、実際に効果のある「スマホ依存対策」を教えてもらいました。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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我慢せずに続けられる対策のほうが効果的
――「スマホを見ない」と決めても、なかなか続きません。スマホを見る時間を減らすには、どうすればいいのでしょうか。
戸田大介(以下、戸田):大切なのは、自分の意志だけで我慢しようとしないことです。
たとえば、目の前にスマホがあって、ワンタップすればSNSや動画を見られる。その状況を何も変えずに、「今日は絶対に見ない」と我慢し続けるのは難しいんです。
人の行動は、本人が思っている以上に、置かれている状況に左右されます。ですから、スマホを見ないように頑張るのではなく、「ついスマホを見てしまう状況」そのものを変えるほうが効果があります。
5位:動画の「自動再生」をオフにする
――具体的には、どんな対策がありますか。
戸田:まず簡単にできるのが、YouTubeなどの動画サービスの「自動再生」をオフにすることです。
自動再生がオンになっていると、一本の動画が終わっても、何もしなければ次の動画が始まります。つまり、自分では「次の動画を見よう」と決めていなくても、そのまま見続けやすい状況になっているわけです。
――自動再生を切るだけで変わるのでしょうか。
戸田:変わります。自動再生をオフにすると、一本の動画が終わったところでいったん止まります。続きを見るためには、自分で次の動画を選んで再生しなければいけません。
もちろん、本当に見たい動画なら見ていいんです。減らしたいのは、「特に見たいわけではないけれど、流れてきたからそのまま見る」という、惰性によって失ってしまう時間です。
こうした「なんとなく見ている時間」も、積み重なると、思っている以上に大きな時間になります。
4位:作業中は「通知」をオフにする
戸田:通知をオフにすることも効果的です。
ただ、「大切な連絡を見逃しそうで不安」という人もいると思います。そういう人は、ずっとオフにする必要はありません。仕事や勉強など、集中したい時間だけ通知をオフにするのでも十分です。
――それなら、通知を完全にオフにすることに抵抗がある人でもできそうですね。
戸田:そうですね。通知が特に問題になるのは、作業中に届いて意識を奪われることです。
作業中に通知が来ると、それまで目の前のことに向いていた意識が、一瞬でスマホに持っていかれます。しかも、「何か届いた」とわかると、中身を確認したくなります。そこでSNSやメッセージを開けば、そのまま別のものまで見てしまうかもしれません。
通知をオフにする目的は、スマホを我慢することではなく、そもそもスマホを意識するきっかけを減らすことなんです。
3位:スマホを物理的に遠くへ置く
――ほかには、どんな方法が効果的でしょうか。
戸田:スマホを物理的に遠くへ置くことです。仕事や勉強をするときは、机の上ではなく、できれば別の部屋などに置いてみてください。
――そんなことで変わるのでしょうか。
戸田:かなり変わります。スマホが目の前にあると、少し手持ち無沙汰になっただけでも、なんとなく手に取ってしまいます。でも、視界からなくなるだけでスマホを意識する機会が減りますし、見たくなったときにも、わざわざ取りに行かなければなりません。
――とはいえ、数秒歩けば取りに行けますよね。
戸田:はい。ですが、それでも行動は変わります。というのは、人はいつも「絶対にSNSを見たい」という強い意志を持ってスマホを開いているわけではないためです。人はそこにスマホがあるから、なんとなく手に取っています。
「立ち上がって取りに行く」という一手間が必要になるだけで、「そこまでして見なくてもいいか」と諦める瞬間が生まれます。スマホが手元にある状況と、別の部屋にある状況では、スマホを開く確率が変わるんです。
2位:「無理のない」利用制限をかける
戸田:スマホに利用制限をかけるのも、大きな効果があります。SNSや動画アプリなどに、「1日◯時間まで」という利用時間の上限を設定することができます。
この機能を使ったことがある方は結構いるかもしれませんが、利用時間の制限には重要なポイントがあります。最初から厳しすぎる制限をかけないことです。
たとえば毎日4時間SNSを見ている人が、いきなり「今日から10分まで」と設定したとします。当然、すぐに制限時間に達しますよね。すると何度も制限を解除することになります。
それを繰り返していると、やがて何も考えずに反射的に解除する癖がついてしまいます。そうなると、せっかく設定した利用制限が機能しなくなってしまいます。
――では、どのくらいの制限から始めればいいのでしょうか。
戸田:まず、自分が普段どのくらい使っているのかを確認してください。
たとえば4時間なら、最初は3時間半にしてみる。それくらいなら、ある程度満足したところで制限が表示されるので、「今日はこれくらいでいいか」とやめられる可能性が高くなります。
大切なのは、最初からスマホ時間を極端に減らすことではなく、まず「惰性で見ている時間」を削ることです。今の利用時間から少しずつ減らして、それに慣れてきたら、さらに短くしていけばいいんです。
1位:依存しているアプリを消す
――ほかに効果的な対策はありますか。
戸田:さらに効果の高い方法は、依存して困っているアプリを、スマホから削除することです。これはかなり効果があります。
――でも、SNSを仕事で使っていたり、友人とのやり取りに必要だったりして、削除するのは難しい人もいると思います。
戸田:SNS自体をやめる必要はありません。
アプリは削除しても、必要なときはSafariやGoogle Chromeなどのブラウザから見ればいいんです。
――見てもいいのであれば、アプリを消す意味はあるのでしょうか。
戸田:あります。アプリを消すと、まず通知が来なくなります。ホーム画面からアイコンも消えるので、SNSを思い出すきっかけも減ります。そして、見ようと思ったときも、ブラウザを開いてアクセスするという手間がかかります。
つまり、「ついSNSを開いてしまう状況」をまとめて崩せるんです。
ここでも、「絶対にSNSを見ない」というルールにする必要はありません。見たいときはブラウザから見ればいい。ただ、少し面倒にしておく。そのわずかな違いだけでも、「まあ、今は見なくていいか」とやめる瞬間が生まれます。
スマホを「絶対に見ない」対策でなくていい
――ここまでの対策は、どれもスマホを完全に使えなくするものではないんですね。
戸田:そうなんです。どの方法も、「これをやれば絶対にスマホを見なくなる」というものではありません。
自動再生をオフにしても次の動画を見ることはありますし、スマホを別の部屋に置いても取りに行くことはあります。アプリを削除しても、ブラウザからSNSを見ることはできます。
それでいいんです。大切なのは、スマホを開く確率を少しずつ下げることです。
――完全に防げなくても、見る回数が減ればいいということでしょうか。
戸田:そうです。たとえば、こうした対策を組み合わせて、スマホを開く確率を半分にできたとします。
スマホ依存の人は、少なくとも1日に200回はスマホを開きます。もしそれを半分にできれば、毎日スマホを開く回数が100回減ることになります。
一回一回は、「ちょっと面倒だからやめておこう」「今日はもう十分見たからいいか」という小さな変化です。でも、それが毎日積み重なれば、スマホに使う時間は大きく変わります。
スマホ依存対策というと、「スマホを見ない強い意志を持つこと」だと思われがちです。でも、本当に変えるべきなのは意志ではなく、「ついスマホを開いてしまう状況」や「惰性で見続けてしまう状況」です。
スマホを完全にやめる必要はありません。スマホを使って便利だったり、見て楽しいのなら、それはよい使い方だと思います。私たちが目指すべきは、スマホを敵対視して「使わない」ことではなく、スマホを使って「後悔しない」付き合い方を見つけることなのではないでしょうか。








