仕事や勉強を頑張ろうと、集中力が切れても机に向かい続けていないでしょうか。実は、疲れてから休むのでは遅く、無理に作業を続けるほど「机に向かいたくない」という気持ちが強くなり、先延ばしを招いてしまいます。では、どのタイミングで、どのように休めばいいのでしょうか。短い作業時間で成果を上げるための「疲れる前に休む技術」を紹介します。※本稿は、戸田大介『脱スマホ術──「何もせず1日が終わった」がなくなる』からの一部を抜粋・編集したものです。
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山口くん:副業でアプリ開発を始めたが、ダラダラとスマホで時間を溶かし、作業に集中できない悪癖に悩む。
おじさん:山口くんのおじさんで、謎が多い異端の人物。どうやら、仕事や勉強の能率をアップする方法を知っているようだ。
山口くん:「ふあー、生き返るー」
朝一でとって冷蔵庫に入れておいたスイカはひんやりと甘く、みずみずしさに満ちていて、たくさん汗をかいた山口くんをみるみる回復させていきます。
おじさん:「うん、今年もうまい。本当に生き返るみたいだ」
おじさんもスイカの出来に満足そうです。
山口くん:「よーし、午後もがんばるぞー」
久しぶりの運動とたっぷりの栄養補給で、山口くんはやる気に満ちています。そんな甥の様子を見ていたおじさんは、唐突に言いました。
おじさん:「その感じ、机に向かうときも役に立つよ」
疲れたまま机に向かい続けるのは、「先延ばしの原因」になる
山口くん:「え?」
おじさん:「ほら、今疲れが回復して『午後もがんばるぞ』ってなってるだろ。二郎がアプリ開発をしてるとき、こんなふうに回復する瞬間ってたぶんないだろ?」
山口くん:「そうだな、えっと……」
山口くんは、自分が机に向かっているときをイメージしてみます。
机に向かってすこし経つと集中が切れてきて作業が進まなくなるのですが、そういうときこそ泥沼にはまるようにPCに向かい続けてしまうので、リフレッシュすることなどありません。
山口くん:「うん、たしかに途中で回復するなんてことはないと思う」
おじさん:「そうだよな。でも疲れたまま作業を続けるのって、ものすごく損なんだよ」
おじさんは説明しました。
★「疲れたまま作業する」はすごく損
① 作業効率が落ちる
② やっても進まなくなり、成果が出なくなる
③ さらに疲れ、さらに効率は落ち、どんどん嫌になってくる
④ 自分の中に「仕事(勉強)は苦しい」というイメージが染みついていく
⑤ 次に机に向かうとき、その嫌なイメージによって「やりたくない」と感じる
おじさん:「とくに大きいのは、最後のイメージの問題。仕事や勉強が『苦しかった』という体験が重なると、人は無意識にそれを避けるようになる。先延ばしもその結果の一つで、『机に向かうのは苦しいから避けよう』って脳が判断するわけだ」
山口くん:「それ、完全にぼくのパターンだ」
おじさん:「そう。でも逆に疲れをうまく扱えるようになると、いい循環が起こる。机に向かうたびに『がんばった』とか『前に進んだ』みたいないいイメージが積み重なって、次の行動へのハードルが下がり、どんどん行動できるようになる」
山口くん:「ということは――」
そこで山口くんはシャクっとスイカをかじり、鋭い目つきで言いました。
山口くん:「疲れたらしっかり休めばいい、ってことだね」
おじさんも鋭い目つきで答えました。
おじさん:「いや、ちがう」
一度疲れたら、集中力の復活は困難
山口くん:「がーん」
渾身の読みが外れた山口くんは、ショックを受けました。
おじさん:「実際にやればわかるけど、『疲れたら休む』はあんまり上手くいかないんだよ。一度疲れ切ると、休んでもなかなか回復しなくなるから。そうじゃなく、疲れる前にこまめに休んだ方が集中力をキープできて、成果も増す」
山口くん:「へえ、そんなもんなんだ」
山口くんはふだん作業中に休憩なんてとらないので、いまいちピンときません。
おじさん:「まあ、やればわかるよ。机に向かう時間は減るのに、成果は増えるから」
山口くん:「わかった。とりあえずやってみるよ」
まだイメージは湧いていませんでしたが「がんばる時間は減るのに成果は増える」というのはなんだか得な気がしたので、山口くんは試してみようと思いました。
・疲れたまま作業を続けると、どんどん効率が落ちていく
・また仕事や勉強に悪いイメージが染みつき、無意識に避けるようになる
・疲れる前に休むと高い集中力をキープでき、短時間で成果を挙げやすくなる
「作業 → 休憩」をくり返す
おじさん:「という話をふまえて結局、何をすればいいかと言うと――」
おじさんは結論を述べました。
おじさん:「作業中は常にタイマーをかけて、短く『作業 → 休憩』をくり返す」
山口くん:「えー、またタイマーか。なんか地味だなあ。ずっとかけるのも面倒だし」
もっと聞いたことのない方法を期待していた山口くんは、露骨にがっかりしました。
おじさん:「でもこれだと、ダラダラの原因を一網打尽にできるんだぞ。タイマーで緊張感が生まれるし、同時に『疲れる前に休む』こともできるし、時間制限によって『イメージしてる作業量』も減るから」
山口くん:「ふーん」
その説明は、すこしだけ山口くんの心を惹きました。続けておじさんは、実施時のコツも教えてくれました。
コツ1:休憩でスマホやメールチェックはNG
SNSやメールはただ見るだけでかなりの情報を処理するので、脳が休まらない。「立ち上がってコーヒーをいれる」「ぼーっと窓の外を見る」など、あまり頭を使わないことが理想的。
コツ2:作業の種類を切りかえる
最初の50分は「資料作成」、次は「メール返信」というように、作業を変えていく。すると使う脳の部位が変わるので、同じ作業をずっと続けるよりも疲れづらくなる。
コツ3:「もうちょっとしたい」くらいでやめる
しばらくしたら、「もう少しやりたい」くらいで作業をやめる。すると次の日「早く続きをやりたい」という行動力が生まれる。
また、人はどんなに好きなことでも、長時間やりすぎると嫌になる(人には「好きでいられる限界」の時間がある)。タイマーでその時間を把握すると、活動を好きでい続けやすくなる。
山口くん:「たしかに理にかなってる気がしてきたかも」
山口くんは具体的なイメージが湧き、だんだんやる気になってきました。
・作業は短く「作業 → 休憩」をくり返す
・コツ1:休憩中にスマホやメールを見ない
・コツ2:作業の種類を切りかえる
・コツ3:「もうちょっとしたい」くらいでやめる
戸田大介(とだ・だいすけ)
山形県出身。新卒で電通アイソバー(現・電通デジタル)に入社。データアナリストとして勤務したのち、bondavi株式会社を創業。データと行動科学の知見をもとに、人の前向きな行動を引き出すアプリの開発に取りくむ。全アプリを広告なし・無償で提供し、ユーザー任意の寄付により運営している。『継続する技術』『集中』は国内有数のヒットとなり、累計ダウンロード数は1000万を超える。著書『脱スマホ術』『継続する技術』。








