大事な仕事や勉強があるのに、気づけばスマホを眺めて時間を使ってしまう。そんな「先延ばしグセ」は、なぜ起きるのでしょうか。先延ばしが起きる2つの原因と、すぐに行動できるようになるための考え方を紹介します。※本稿は、戸田大介『脱スマホ術──「何もせず1日が終わった」がなくなる』からの一部を抜粋・編集したものです。
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山口くん:副業でアプリ開発を始めたが、ダラダラとスマホで時間を溶かす「先延ばしグセ」をやめられない。
おじさん:山口くんのおじさんで、謎が多い異端の人物。どうやら、先延ばし解消の方法を知っているようだ。
【先延ばしの原因1】「まだ時間がある」と感じている
おじさん:「まず人は『まだ時間がある』って感じると、物事を先延ばしにするんだ。締め切りまで余裕がある仕事ってやらないだろ」
おじさんは意外にも、何やら有益そうな話を始めました。
山口くん:「うん。絶対にやらない」
おじさん:「そんなふうに『先がある』と思うから、人は先延ばしをする。逆に言えば『もう時間がない』と感じさえすれば、人は先延ばしをしなくなるんだ。締め切りギリギリになったら、どんなに面倒でも人は動く」
山口くん:「たしかに……!」
おじさん:「ということは、締め切りをうまく利用できれば――」
山口くんはさっそく希望を感じ始めましたが、途中で「……あ」と考えこんでしまいました。そして、重要な事実に気づきます。
「でもぼくのアプリ開発に、締め切りなんかないよ」
大事なことに限って、先延ばしにする理由
おじさん:「そう。語学学習とか、二郎のアプリ開発みたいな『自分から始める活動』には締め切りがないことが多い。だから二郎は365日いつでも『いくらでも先延ばしできる状況』にいるわけで、つい先延ばしにしてしまうのはむしろ当然」
おじさんはデコボコした雪玉を1つ手に取り、形を整えながら続けます。
おじさん:「でもそういう活動こそ、本当に大事にしたいことだったりする。誰かに言われてやらされる雑用じゃなくて、自ら心惹かれて始めたことだから」
山口くん:「たしかにそうかも……」
まさにその通りでした。山口くんは、本当はアプリ開発をしたいと思っているのです。やりたいのに面倒というのも変な話なのですが、実際にそうなのです。
始めるまでは腰が重くてつい先延ばしにしてしまうのですが、実際にやるといつも「やってよかった」と充実した気持ちになって、なんだかどこかとても正しい方向に進んでいるような気がしてくるのでした。
ますます先延ばし癖が深刻に感じられた山口くんは、話を進めました。
山口くん:「それで、どうやったら締め切りなしで動けるようになるの?」
おじさん:「重要なのは締め切りじゃなくて『時間がない感』なんだよ。だからそれさえ作れれば、締め切りがなくても動ける」
きれいに丸まった雪玉を満足そうに眺めながら、おじさんは答えました。
しかし山口くんは、まだ納得できていませんでした。
(締め切りなしで「時間がない感」を作るなんてこと、本当にできるんだろうか)
・人は「まだ時間がある」と感じると、先延ばしをする
・「自ら始める活動」の多くは締め切りがないため、いくらでも先延ばしできる
・締め切りがなくても「時間がない感」があれば、人は動ける
【先延ばしの原因2】「イメージしている作業量」が多い
山口くんが話の続きを待っていると、おじさんは「ふあああ」と伸びをして、突然なんの脈絡もない質問をしました。
おじさん:「二郎は家でも風呂につかる? シャワーだけ?」
山口くん:「え? ああ、えっと、ぼくはだいたいシャワーだけで済ませちゃうかなあ。本当はちゃんと湯船につかった方がいいとは思うんだけど」
根がマジメな山口くんは、律儀に答えました。
おじさん:「そうだよな。実は、先延ばしもこれと同じなんだよ。やった方がいいって頭でわかってはいるけど、そうしない。理由は『面倒だから』」
そこでおじさんはもう1つの雪玉を手に取り、山口くんの方を向きました。
おじさん:「では、ここで問題です」
山口くん:「いいでしょう」
おじさん:「『風呂に入る』はなぜ、『シャワーを浴びる』よりも面倒なのでしょうか」
山口くん:「え?」
(言われてみれば、なんでだろう。たしかにお風呂の方が面倒だけど……)山口くんは熟考した後、口を開きました。
山口くん:「やることが多いから、じゃない? お風呂だと湯船を洗ったり、お湯をためたりしなきゃいけないでしょ。そういう準備が面倒なんじゃないかな」
おじさん:「お、正解! そうなんだよ。俺たちは何かをしようとするときに、無意識にその行動をイメージするんだ。そのときにイメージする作業量が多ければ多いほど、より面倒に感じて行動は起きにくくなる」
山口くん:「ふむふむ」
そしておじさんは雪玉を丸めながら「逆に言えば」と、結論を続けました。
おじさん:「意図的に『イメージしている作業量』を減らせば、行動は起きやすくなる」
先延ばしは無意識に起きる
おじさん:「たとえば二郎は、1日にどれくらいアプリ開発ができたら満足?」
山口くん:「そうだなあ……。できれば2時間くらいかな。残業とかにもよるけど、最低でも1時間はしたいかなあ」
山口くんはぼんやりと答えました。
おじさん:「じゃあ二郎の『イメージしている作業量』は最低でも1時間。こんな感じで、意識してなくても人の脳は『これくらいはやるだろう』って作業量を勝手にイメージしてる。その無意識のハードルが高すぎると、先延ばしの原因になる」
おじさんはそれをくわしく説明しました。
★山口くんの先延ばしが起きるまで
① 「毎日1時間はやろう」と(無意識に)思っている
② 「1時間がんばれるとき」しか行動は起きなくなる(「30分ならできる」ときでも、1分もやらない)
③ 仕事で疲れて帰ったとき、ふつう1時間もがんばれない
④ 脳が「今はそんなにできない。今度にしよう」と判断する(=先延ばし)
山口くん:「そうだったのか……。じゃあぼくも『毎日30分でいい』とか決めたら、先延ばしが減るってこと?」
おじさん:「うん。今よりは減ると思う」
山口くん:「おお!」
山口くんが喜んでいると、おじさんは持っていた雪玉を置いて言いました。
おじさん:「でも、もっといい方法もある」
・「イメージしている作業量」が多ければ多いほど、行動は面倒になる
・意識していなくても、脳は行動する前に作業量をイメージする
・大抵その作業量は多すぎるので、先延ばしの原因になっている
戸田大介(とだ・だいすけ)
山形県出身。新卒で電通アイソバー(現・電通デジタル)に入社。データアナリストとして勤務したのち、bondavi株式会社を創業。データと行動科学の知見をもとに、人の前向きな行動を引き出すアプリの開発に取りくむ。全アプリを広告なし・無償で提供し、ユーザー任意の寄付により運営している。『継続する技術』『集中』は国内有数のヒットとなり、累計ダウンロード数は1000万を超える。著書『脱スマホ術』『継続する技術』。








