地球上で最も豊富に存在し、あらゆる生命にとって不可欠な分子「水」。一見すると単純な物質に見えるが、水素原子と酸素原子の結びつきによって生じる「水素結合」という特殊な性質が、水を極めて安定した分子に仕立て上げている。体が60%以上の水で満たされている理由から、万能な溶媒として血液を機能させる仕組みまで、水と生命の切っても切れない関係を『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの生物学』から解説する。(ダイヤモンド編集局)
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水分子の化学的構造と水素結合の秘密
水はあらゆる生物にとって欠かせない分子の一種である。
また、地球上でもっとも豊富に存在する分子の一種でもある。
水分子は、水素原子2個と酸素原子1個が共有結合することで作られている。
水は水素結合という化学結合を作るため、独特の性質を持っている。
水素結合とは、水素原子と別の分子中にある、フッ素・酸素・窒素などの原子とをつなぐ結合のことである。
フッ素・酸素・窒素は、電気陰性度が高いという点で、ほかの原子とは異なる。
酸素のように電気陰性度の高い原子は、化学結合に関与する電子を自らの原子核のほうに引き寄せる。
水の驚異的な安定性と生命誕生の歴史
水は水素結合のために驚くほど安定である。
安定性の高い液体であればあるほど、気体になりづらい。
そのため、水を沸騰させて水蒸気にするのは、ほかの液体に比べて難しい。
生物の歴史はいまから40億年近く前までさかのぼる。
多くの科学者が考えるところでは、最初の生物が誕生したのは、深海底にあって貴重な熱が供給される、火山のような噴出口のそばだったという。
それ以来、すべての生物は生き延びるために水を必要としてきた。
たとえば、植物は栄養分を作るプロセスに水を必要とするし、魚は呼吸のために水を必要とする。
ヒトの身体を巡る水と恒常性の維持
ヒトの身体は60%以上が水でできている。
ヒトの肺・皮膚・腎臓・筋肉・脳はすべて、固体というよりも液体に近いといえる。
水はあまりにも重要で、ヒトは恒常性を維持するためだけでも大量の水を摂取する必要がある。
ヒトの身体でもっとも量の多い元素ある酸素は、呼吸によって取り込まれるだけでなく、体内の水にも含まれている。
万能の溶媒としての水と血液のメカニズム
生物にとって水が重要なもう1つの理由は、ほかの多くの分子を溶かし込めることである。
たとえば血液は、血漿と呼ばれる液体部分と、さまざまな種類の血球を含む固体部分とからなる。
血漿は、さまざまな固体・タンパク質・塩が水に溶けたものである。



