「何度言っても、素直に言うことを聞かない」「仕事へのやる気が感じられない」。そんな若手を見ると、「仕事ができない人」と判断したくなるかもしれない。しかし、学生時代には活発だったという話もある……漫画家・かっぴー氏の著書『天才になれなかった全ての人へ 自分だけの武器が見つかる才能論』には、そのヒントが隠されている。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)

職場にいる「言うことを聞かない若手」は本当に無能なのかPhoto: Adobe Stock

「言うことを聞かない」のではなく、ハマっていない?

会社に入れば、上司から仕事を振られ、決められたルールに従って働くことになる。それにうまく適応できる人もいれば、どうしても噛み合わない人もいる。そこで「言うことを聞けない=能力がない」と考えるのは早い。その仕事、その部署、その会社に、その人がハマっていない可能性があるからだ。

本書では、「天才状態」に入る条件として、「能力を100%発揮できている」「自然な状態である」「価値を生んでいる」という3つが示されている。ところが、自分に合わない環境では、この条件を揃えるのが難しい。得意なことを使えず、自然な自分を抑え、やった仕事も価値につながらない。これでは、本来持っている力があっても表には出てこない。

会社は「ここは合っていない」と教えてくれない

問題は、本人がハマっていなくても、その状態が長く続いてしまうことだ。本書には、こんな指摘がある。

「会社はあなたに『ミスマッチ』を教えてはくれない」

日本では正社員の雇用が手厚く守られているため、会社から「あなたは我が社にはいらない」と宣告されることはほとんどない。もちろん、それ自体は労働者にとって重要な仕組みである。しかし別の見方をすると、「この環境はあなたに合っていない」というサインも出にくい。

仕事がつまらない。上司の指示に納得できない。思うように成果が出ない。それでも毎日会社には行けるし、給料も振り込まれる。すると、「自分は会社員に向いていない」「自分は仕事ができない」と思いながら、ミスマッチした環境に居続けることも起きる。

置かれた場所で咲く必要はない

若手が仕事にハマっていないとき、周囲は「もっと素直になれ」「まずは言われた通りにやれ」と言いたくなる。しかし、それだけで解決するとは限らない。本人の能力を今の環境に合わせることばかり考えているからだ。

部署が変われば活躍するかもしれない。上司が変われば、のびのび働けるかもしれない。あるいは会社そのものを変えれば、それまで「扱いにくい」とされていた性質が強みに変わることもある。

だから、「置かれた場所で咲く」ことだけが正解ではない。もちろん、少し嫌なことがあっただけで環境のせいにするのも違う。目の前の仕事に本気で取り組んでみなければ、自分に向いているかどうかさえわからないからだ。

「咲ける場所」を探せ

それでも力を出せないなら、「自分がダメだから」と考えるだけではなく、「ここではハマらないのではないか」と疑ってみてもいい。

職場にいる「言うことを聞かない若手」は、本当に無能なのか。もしかすると、その人はまだ、自分が自然に100%の力を発揮し、それが価値になる場所を見つけていないだけかもしれない。

会社は「君はここでは天才状態に入れない」とは教えてくれない。だからこそ、自分で確かめるしかない。置かれた場所で咲けないなら、咲ける場所を探すという選択肢もあるのだ。