認知症予防に「ゴルフ」はいかが?ゴルフ歴が長いほどリスクが低下【国立長寿医療研究センターの調査より】Photo:PIXTA

 九州大学の調査(2022年度)によると、65歳以上の高齢者における認知症の割合は12.3%、認知症の前段階の軽度認知障害(MCI)は15.5%で、65歳以上の3人に1人が認知機能に何らかの症状を持つ。興味深いのは、認知症の有病率が前回調査(12年度)の15.0%から低下した一方、MCIは13.0%から上昇したことだ。

 認知症の減少は先進国共通の傾向で、背景には喫煙や大量飲酒といった不健康な生活習慣が影を潜め、発症リスクである脂質異常症や糖尿病、高血圧などの管理が行き届いてきた点があげられる。研究者も「生活習慣病の改善で、MCI段階で踏みとどまる人が増えた」と指摘しているのだ。

 MCIの段階であれば、心がけ次第で正常な認知機能への回復が期待できる。それには生活習慣病を改善する食生活と、脳血流をうながす有酸素運動にプラス、知的・情緒的筋トレとでもいうべき他者との交流を意識したい。

 有酸素運動+他者との交流がかなう種目の一つにゴルフがある。

 国立長寿医療研究センターが、愛知県大府市の65歳以上の健康な地域住民4575人(平均年齢72.8歳、女性2402人)を、現役ゴルファー群、ゴルフをやめた群(中止群)、未経験群にわけ、複数の認知機能テストを行ったところ、現役ゴルファー群は未経験群と比較し、認知機能低下リスクが有意に低かった。また、ゴルフ歴が長いほどリスクが低くなることも示された。

 認知機能でいうと、現役ゴルファー群は未経験群より記憶力が良く、実行機能(必要な情報を記憶しつつ、段取りや計画を柔軟に遂行する能力)が有意に高く保たれていた。一方、注意力や処理速度の差は認められなかった。

 中止群は記憶力が未経験群より高く保たれていたが、実行機能では有意差は認められなかった。

 また、ラウンド数や練習回数とは明らかな関連は認められず、研究者は「ゴルフを長く続けることが、認知機能の維持に役立つ」可能性を指摘している。

 ゴルフは身体運動と同時に、相手との駆け引きやコミュニケーションを楽しみ、自然環境相手の戦略立案を行う複合的なスポーツだ。ワクワクしながら認知機能を刺激していこう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)