やるべきことを先延ばしにしてしまい、「意志が弱い」と自分を責めていませんか? 実はその原因は性格や努力不足ではなく、急激に進化を遂げたデジタル環境と、古代から変わらない人類の脳とのズレ「進化的ミスマッチ」にあります。人類史のスケールから、私たちがスマホ時代に陥る先延ばしの原因を『すべて本能のせい』から解説します。(ダイヤモンド社書籍編集局)

スマホを見て驚いている女性Photo: Adobe Stock

現代人の生きづらさは「意志の弱さ」のせいではない

あなたは今日、「わかっていてもできなかった」ことがあったでしょうか。
感情的になってしまった、先延ばしにしてしまった、つい誰かと比べてしまった。そのときに、意志が弱い自分を責めたでしょうか。
しかし、本当にそれは意志の問題なのでしょうか。

なぜ現代はこれほど便利になったのに、生きづらさを感じる人が増えているのでしょうか。
なぜ情報があふれているのに、判断を誤り続けるのでしょうか。
なぜ正しいとわかっていても、そうできないのでしょうか。

実はそれは、意志や努力や性格の問題ではありません。
私たちの脳や身体には、生きのびるために進化の過程で獲得してきた本能的な仕組みが組み込まれています。
そして、その仕組みと急速に変化した現代の環境とのズレを、「進化的ミスマッチ」と呼びます。

クイズ:人類史を1年に例えると「スマホの登場」はいつ?

さて。ここで3択問題を一つ出してみたいと思います。
人類の歴史を1年に例えたとき、現在のようなインターネットやスマートフォンのある生活は、いつ頃から始まったことになるでしょうか。
人類(ホモ・サピエンス)が誕生したのは、今から約40万~20万年前だと考えられています。ここでは仮に30万年前を人類誕生の瞬間とし、そこからの現在までの30万年を1月1日から始まる1年に置き換えてみます。

A 10月3日 午前2時11分ごろ
B 12月16日 午前9時36分ごろ
C 12月31日 午後11時37分ごろ

答えは、C「12月31日 午後11時37分ごろ」です。

私たちの脳は「年末の数十分」の激変についていけていない

人類は1年のほとんどを、狩猟採集の環境で過ごしてきました。
農耕が始まるのはいまから約1万年前なので12月中旬、産業革命でさえ大晦日の夕方です。
そしてインターネットやスマートフォンが普及したのは、年が明けるほんの数十分前にすぎません。
私たちの脳や身体は、約30万年という長い時間をかけて狩猟採集の環境に適応してきました。
それが大晦日の夜のわずかな時間で、スマートフォンやSNS、生成AIのある世界へ放り込まれてしまいました。
長い年月をかけて形づくられた脳や身体が、この「年末の数十分」で起きた急激な環境の変化に、まだ追いついていないのは自然なことなのです。