菌類は、死んだ生物から生きた生物へと栄養分を引き継ぎ、広大な菌糸体で森全体をつなぐ重要な役割を担っている。しかし、彼らが大きく成長するためには、周囲の動植物による手助けが欠かせない。植物と互いに栄養を与え合う不思議な関係や、葉を切り運ぶアリと菌類が築いた驚きの協力体制まで。生態学の視点から、生き物たちが互いに影響を与え合いながら生きる「相利共生」のダイナミックな仕組みを『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの生物学』から紐解く。(ダイヤモンド編集局)

森と池に陽が差し込む画像Photo: Adobe Stock

森をつなぐ菌類の役割

菌類は環境中で特別な役割を担っている。
死んだ生物から生きた生物へ栄養分を引き継ぐのに欠かせないだけでなく、広大な菌糸体で森全体をつないでいる。
一方、菌類はそのように大きく成長するために、周囲の動植物からの手助けを必要とする。
生態学と呼ばれる生物学の一分野では、そのような菌類と環境との関係について研究する。

生態学
環境中での生物どうしの結びつきを研究する学問

植物と菌類の「相利共生」

植物と菌類は、互いに恩恵を与えあう関係にある。
これは相利共生の一例である。
植物は菌糸体から栄養分をもらい、菌類は植物細胞から栄養分をもらう。

その結果、菌類と密接な関係を持つ植物は力強く成長し、それによって、その植物と関係を持つ菌類も力強く成長する。

菌糸体と根の進化

菌糸体は栄養分を取り込んで植物細胞に分け与える。
そこで生物学者は、菌類が重要な役割を果たしたことで、植物の根は菌糸体と同じ働きをするように進化したのだと考えている。

ハキリアリと菌類の畑

菌類は多くの昆虫とも相利共生関係を築いている。
たとえばハキリアリは、切り取った葉は消化できないが、菌類は消化できる。
そこで菌類の畑を作り、切り取った葉を与えることで、菌類の成長を促す。
菌類は食物をもらったお返しに、アリの食糧源となる。
アリは菌類を食べながら、その菌類の胞子を集めて新たな畑を作る。