勝負できる時間は刻々と短くなっている Photo:医薬経済社
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。
芸能界やスポーツ界には昔から、英語で「one-hit wonder」と呼ばれる一発屋がいる。本人の努力や熱望をあざける運命の女神フォルトゥーナのつれなさは、生成AIが本格的に社会に実装されつつある世になっても変わらないのかもしれない。新薬のヒット確率に評価が大きく左右される製薬企業の経営も、まさに一発屋として終わる事態を、とにかく回避する並々ならぬ努力の総和であると例えてもよいだろう。
国内業界を見渡して、この過酷な境遇に最も直面しているのが大阪・道修町の老舗・小野薬品だということに異論は少ない。免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」というひとつの新薬で世界的なスペシャリティファーマの座を確保した瞬間から、ポスト・オプジーボを意識せざるを得なくなった。なかでも現在、代表取締役会長CEOの職にいる相良暁氏は社長に就いた08年から今日に至る18年間の、およそ3分の2をこれに費やしてきたと言っても過言ではない。
画期的新薬の連続創出をレバレッジとする本物のグローバル製薬企業への脱皮という目標は、24年、研究畑出身の滝野十一氏を社長COOに指名すると同時にオプジーボを育てた営業畑出身の辻中聡浩氏を専務執行役員としてあてがい、3人の代表取締役によるトロイカ体制でもって引き続き追求する形となり今日に至っている。
これを単なる世代交代が狙いと捉えるのは正確ではなかろう。トップ人事に込めた思いは創薬中心の経営からグローバル事業執行型の経営への重心移動であり、300年企業が本当の意味で試されるスタートと考えるべきだからだ。







