あらゆる生命にとって不可欠な「水」。しかし、私たちの身体が成り立つためには、水のほかに決定的な役割を果たす“もう一つの元素”が存在する。身体の90%以上を占める生命の骨格を作り上げ、命の営みそのものを支える驚異の分子構造とは一体何なのか。命を形づくる知られざる主役の正体を『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの生物学』から紐解く。(ダイヤモンド編集局)

水を飲む子供Photo: Adobe Stock

生命に必要な「炭素」と「有機化合物」

生命にとって水がもっとも重要な分子の一種なのは、安定であるとともに、水分子どうしで結合できるからだ。
その構成元素である水素と酸素は、地表でも生体内でも非常に量の多い元素である。
しかし生命が存在するために必要な元素は、水素と酸素だけではない。
生命は炭素にも頼っている。

どんな生物でも、その身体のかなりの割合を炭素と水素が占めており、そのためこれらの元素は有機元素と呼ばれている。
炭素と水素、およびほかの元素が結合して作られる分子をまとめて、有機化合物という。生物の身体の90%以上は有機化合物で構成されている。

「有機」の意味と有機化学

“有機”とは「生物に関連した」という意味である。
有機という名称が付いているものは、すべて生物に関係している。
有機化合物を研究する化学の一分野を有機化学という。

炭素原子の特性と「炭素鎖」の形成

炭素は驚くほど安定な物質で、炭素原子どうしで結合を作ることができる。
炭素原子は価電子を4個持っていて、原子価殻に電子があと4個入る余裕があるため、4個の原子と共有結合を作ることができる。
炭素原子は別の複数の炭素原子と結合できるため、炭素原子だけからなる長い鎖を形成することがある。
そのような鎖を炭素鎖といい、そこにさらに異なる元素の原子が結合する。

「炭化水素」と生体を支える分子の連なり

水素は生体内で炭素原子にもっとも多く結合している元素であり、有機化合物の中でもっとも単純な、炭化水素と呼ばれる化合物を形作る。
多数の炭化水素分子が結合して連なると、炭化水素鎖ができる。
長い炭化水素鎖は人体にも多く存在する。