年数を経た機械の部品が古くなると動かなくなるように、私たちの体も細胞が古くなると不調を来し、本来の機能を果たせなくなっていく。身体の衰えという避けられない現実に対し、体内では生命活動を終わらせないための精巧なシステムが機能している。遺伝物質の複製から「細胞周期」に至るまで、生き物たちが命をつなぎ続けるために不可欠な体内の仕組みを『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの生物学』から紐解く。(ダイヤモンド編集局)

杖をついて歩く人の足元Photo: Adobe Stock

体の老朽化と生命を維持するシステム

細胞のもっとも重要な働きは、ほかの細胞と協調して個体を安定な状態に保つことである。
しかし細胞が古くなるにつれて、そのシステムの多くが不調を来しはじめ、身体が十分に機能しなくなってくる。
生物は機械のようなものである。部品が古くなると、機械は以前のようには動かなくなってしまう。

細胞は、細胞増殖と呼ばれるプロセスによって新たな細胞に置き換えられる。
増殖とは何かの複製を作ることで、この場合には細胞が自身の複製を作る。
古くなってきた細胞は、細胞分裂のプロセスによって、まったく同じ2個のコピーへと分かれる。
古い細胞が不調を来しはじめる前に、新たな細胞が絶えず供給されるおかげで、その個体は活動しつづけることができる。

母細胞から娘細胞へ受け継がれる仕組み

細胞増殖はほとんどの細胞で起こる。
もとの細胞を母細胞といい、分裂してできた新たな細胞を娘細胞という。

すべての生物は自身の遺伝物質を複製する。
ヒトなどの真核生物では、細胞の核の中に遺伝物質が入っているが、細菌などの原核生物では核がなく、細胞質の中に遺伝物質が漂っている(真核生物にも単細胞生物が何種類かいる)。

命の維持に欠かせない増殖の役割

細胞増殖は細胞の数が増えるプロセスのことだ。
細胞が増殖しないとその個体は死んでしまう。
地球上のどんな生物が生きる上でも、細胞増殖は欠かせないプロセスである。

身体が大きくなる理由と「細胞周期」

細胞増殖はいくつかの段階に分けられ、それらをまとめて細胞周期という。
細胞の一生のほとんどは細胞の成長に費やされ、細胞分裂は細胞周期の後のほうで起こる。
個体が成長するのは、細胞が大きくなるからではなく、細胞が分裂して次々にたくさんの細胞が作られるからだ。