相手が要望や条件を示してくれるのであれば、こちらも対応できます。その言葉をしっかり聞くことで、本音や交渉の落としどころを探ることができるからです。
でも難しいのは、表情も乏しく閉鎖的な態度を武器にするタイプの交渉相手です。特にビジネスの場では、経験豊富な相手ほどこのスタイルを取る傾向があります。
社会心理学者であるロバート・チャルディーニは、著書『影響力の武器』の中で、こうした相手から本音を引き出すには、「心理的な安心感」が不可欠であると述べています。
説得するのではなく、「安心できる人だ」と感じさせること。
敵ではなく、「同じ側」に立つこと。
威圧ではなく、「安心感」で信用を得ること……。
完全にFBIの「ラポール重視型面接」(編集部注/相手を追い詰めて自白を迫るのではなく、まず信用関係を築くことを優先するFBIの面接手法)と重なります。焦って情報を取りに行ってしまうと、相手は頑なに心を閉ざしてしまうのです。
では、どうすれば安心感を生み出せるのでしょうか?
正面に座るのを避け
視線を遅れて合わせる
まず意識したいのが「姿勢」です。相手が警戒をしてガードを固めていると感じたら、こちらは「曲線的な姿勢」を作ります。
たとえば、頭を10度ほど横に傾け、手は相手から見える位置で軽く組み、椅子にもたれかかるようにリラックスして座ります。そして、相手を受け入れるように、ゆっくり、大きな動作を意識するのです。
・両手は左右に開くように動かす。
・呼吸は大きく、ゆっくりと。
・時折、手のひらを上に向け、相手に見えるようにする。
こうした動作は潜在意識に「攻撃性がない」「安心できる相手だ」というメッセージを送ります。
座る位置も重要です。正面から向き合うのではなく、斜め前、可能ならば相手の隣に座るようにします。正面で対峙すると無意識に対立構造を生みやすく、交渉相手のガードを上げてしまうからです。
目線も工夫が必要です。会話が始まるまでは目を直視せず、口元や首元あたりに視線を少しずらしておきます。そして相手が話し始めた瞬間に、すっと目を合わせ、ゆっくりとうなずく。この「遅れて合わせる視線」が、圧を与えずに関心だけを伝えます。もちろん、胸は相手にしっかりと向けることを忘れてはなりません。「姿勢」「しぐさ」「座る位置」「目線」と、いろいろあって少し複雑でしょうか。







