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米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)はかつて、広告と人工知能(AI)の組み合わせを「独特に不安をかき立てるものだ」と評したことがある。同社は今、猛烈な速さで大規模な広告事業を構築している。
同社は新規株式公開(IPO)の前に、無料版チャットGPTを維持し、急増する計算コストを相殺するための収益源の確立を目指している。まだ発展途上の広告事業にとって節目となったのは、同社が先月、年換算の広告収入が10億ドル(約1600億円)のペースに達したと発表したことだ。ただ、あまりに急速に広告事業を立ち上げたことで結果はまちまちとなっており、一部の広告主によると、事務手続きの煩雑さや運用上の不具合も生じているという。
オープンAIは広告事業の展開で「あらゆることを、あらゆる場所で、一度に」というアプローチを取っていると、調査会社ニュー・ストリート・リサーチのアナリスト、ダン・サルモン氏は述べ、そのペースを「印象的で前例のないものだ」と評した。
オープンAIは2月、米国内の一部のチャットGPTユーザーを対象に広告のテストを開始し、AIが生成した回答の下に関連する広告主を紹介するラベル付きのボックスを追加した。同社は広告主向けのツールを急速に投入しており、フォーチュン500社のような大企業だけでなく、米メタ・プラットフォームズの広告売上高の大半を占める中小企業も取り込もうとしている。
「私の経験では、これは史上屈指の速い広告事業構築だ」と、オープンAIでグローバル広告部門を統括するデーブ・ドゥーガン氏は述べた。
広告事業は開始から7カ月がたち、現在50カ国以上で展開されている。それでも成長の速度は、一部の業界アナリストらが期待したほど速くない。ニュー・ストリート・リサーチは最近、年換算収入の10億ドルという数字を理由に広告事業の売上高予測を引き下げた。
新しい広告事業には成長の痛みがつきものだ。 広告事業をなお拡大中の米動画配信大手ネットフリックスは当初、広告版の加入者基盤が小さすぎることや、広告主が特定の層を効果的にターゲティングできないとの苦情を受けた。IPO前のフェイスブックは、広告事業が十分な投資対効果をもたらしているかどうか広告主から疑問視された。
フィンテック企業ロケットのジョナサン・ミルデンホール最高マーケティング責任者(CMO)は、自社がオープンAIに出した広告の成果を「期待外れ」と評し、テストで目立った効果は見られなかったと述べた。同氏はオープンAIへの広告支出を増やす前提条件として、より優れたターゲティングと、チャットと広告コンテンツとの間のよりスムーズな移行を求めている。
オープンAIの広告事業への参入は出だしでつまずいた。当初は一部の大手広告主に対し、ユーザーがクリックしたかどうかにかかわらず表示回数1000回当たり約60ドルという高額な料金を課していた。このやり方は他社のデジタル広告事業とは大きくかけ離れていた。他社のサービスでは高度にターゲティングされた広告を表示し、ユーザーがクリックした場合にのみ広告主が料金を支払う。オープンAIの料金はその後、オークション方式の価格設定に移行したことで大幅に下がった。








