Illustration: Emil Lendof/WSJ, Getty Images
米カリフォルニア州のサンフランシスコ・ベイエリアには、これまで誰も見たことがないほどのカネがあふれている。しかし稼いだ本人たちは、そのお金を使いこなせていない。
AI(人工知能)企業の従業員は多忙を極め、従来の富の象徴に特別な関心を持っておらず、多くの人はまだ労働の果実を十分に享受できていない。
特注の自転車でイタリアを巡る旅行を予約するのもいいかもしれない。ただし仕事を休むことができれば、の話だ。自宅の庭に高級なサウナや水風呂を設置するのは、リラックスする手段としては理にかなっていると言えなくもない。しかし、使う予定のないキッチンに大金をはたくのは論外だ。サンフランシスコの不動産市場を見れば分かるように、新居に数百万ドルがつぎ込まれることもある。しかし壁に飾るアート作品への投資は、この層にとっては優先事項ではない。
「彼らは派手ではない」とシチズンズ・プライベート・バンクのシニア・マネジングディレクター、ギャレット・スピーカー氏は言う。同氏は新規株式公開(IPO)前の成熟期にある企業の未公開株を担保にした融資プログラムを手がけており、顧客にはオープンAIやアンソロピックの従業員も含まれる。ベイエリアで20年働いてきて、これほどの流動性を目にしたことはないという。
「この層の人々はちょっと違う」
スピーカー氏によると、顧客はあからさまなぜいたくを避ける傾向があるだけでなく、そもそも時間がないという。
「彼らは一息ついて、『もうプライベートジェットに乗れる、ずっと欲しかったこの車が買える、この高級腕時計を注文できる』と考える時間すらなかった」とスピーカー氏は話した。
大手AI開発企業の従業員以外では、データブリックスやストライプといった企業でも、従業員の中には 株式買付の機会に参加して自社株を現金化 した人たちがいる。彼らの支出の多くは、不動産とスタートアップへの投資という二つの分野に流れている。新居の予算は当初400万ドル(約6億1400万円)だったものの、株式を現金化するチャンスが巡ってきて600万〜700万ドルに膨らんだという人もいるかもしれない。







