その長さんの思いを居作昌果さん(編集部注/「8時だョ!全員集合」の初代プロデューサー)風に表したのが、「私生活は絶対服従、仕事のことは文句を言う」という言葉なのだろう。

「私生活は絶対服従」は、絶対的なタテの規律と、前提としての理不尽さを象徴的に言い表している。しかしいざ仕事のことになったら、上も下もないのだ。

 現場ではいろんな人から徹底的にしごかれたが、AD達も黙ってはいない。ちょっと優柔不断なディレクターに対しては、「決めてくれないと、俺ら動けませんよ」とカマしたり、ロケハンに遅刻していたディレクターに対し「やってられませんよ!」と食ってかかったりする光景も珍しくなかった。

 上がまちがっていたり面白くなかったりしたら、それを口に出せ。それが番組作りを改善し前に進め、面白くしていくのだ。

会議の参加者全員に課した
「発言しないモノは去れ」

 この番組に厳然としてあったカルチャーのひとつ、それは「発言責任」なのだ。

 心理的危険性がある状態で、発言責任を全うしたらどうなるか。

 よほど的を射た意見やアイディアならいいが、そうでない場合はムッとされる、無視される、罵倒される。言う方も言われた方も、これは相当にエネルギーを使う。

 しかし、こうしたぶつかり合いを通じて、この番組は前へ進んで行ったのである。

 僕が「全員集合」で学び「さんまのからくりTV」でも実践した暗黙のルールとして「発言しないモノは去れ」というものがある。

「全員集合」の会議で長さんが「ADでもボーヤでも面白いことを言った奴が勝ち」と言ったが、そのことは「からくり」の会議でも連綿と受け継がれたのだ。会議に出る以上、必ず発言する。番組を1ミリでも前に進めるよう、会議参加者全員が脳を振り絞ることを求めたのである。

 これは何もクリエイティブの現場だけのことではないと思う。いわばこうした「発言責任」は、言い方を変えればファシリテーションだ。

 ファシリテーションとは、会議を活性化させ皆の意見を引き出し結論を出すことによって、実行に対するコミットメントを高めるスキルとされる。