「熱い」「温度が高い」と普段何気なく言葉にしているが、「熱」と「温度」はまったく別のエネルギー概念として区別されている。この違いを理解する鍵となるのが、エネルギーの形態が変わっても総量は絶対に変わらないという「熱力学第一法則(エネルギー保存の法則)」や「熱化学」の考え方だ。私たちが感じる温度にはどんな「決定的な違い」があるのか。『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの化学』から、目に見えないエネルギーの仕組みを解き明かす。

熱のイメージPhoto: Adobe Stock

エネルギー

どのような化学反応も、質量保存の法則とエネルギー保存の法則の両方に従う。

エネルギー保存の法則によれば、孤立系の全エネルギーは一定である。

つまり、孤立系の中ではエネルギーは形態が変化するだけで、生成したり消滅したりはしない。
この法則は熱力学第一法則とも呼ばれる。

熱力学第一法則 エネルギーはある形態から別の形態に転換するだけで、生成したり消滅したりはしない。

エネルギーとは、仕事をおこなう能力のことである。化学では、何らかのプロセスによるエネルギーの変化を、仕事と定義する。

エネルギーの種類

ほぼすべての化学反応でエネルギーが吸収または放出され、多くの場合、そのエネルギーは熱の形を取る。

熱とは、温度の異なる物質のあいだで移動する熱エネルギーである。

・熱は流れる。高温の物質から低温の物質に熱が移動する。

・熱は吸収される。物質が熱を吸収する。

・熱は放出される。エネルギー変化の際に熱が放出される。

化学反応における熱の変化を研究する学問を、熱化学という。
熱化学は、熱力学というもっと大きい分野の一部である。熱力学は、ある系における熱とそれ以外の形態のエネルギーとの関係性を研究する学問である。

知っておくべきこと

熱と温度は違う。

熱エネルギーは、分子の持つ力学的エネルギーの総量。熱は、ある物質から別の物質に移動する熱エネルギーである。

温度は、物体を構成する分子1個の平均運動エネルギーの尺度である。

熱量測定・比熱・熱容量

物理変化や化学反応における熱の変化を測定するには、熱量測定をおこなう。
熱量測定とは、反応の際に放出または吸収される熱の量を測定する操作のことで、閉鎖系を収めた特別な容器である熱量計を用いる。
この方法を用いて実験をおこなえば、発熱反応か吸熱反応かを判断できる。

コーヒーカップを使えば、簡易的な熱量計を作ることができる。

熱量計

熱の変化を計算するには、その物質の比熱(ひねつ)を知る必要がある。

比熱(c)とは、その物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱の量のことである(単位はJ/g・K)。
ジュールの代わりにカロリーが用いられることもある。

1カロリー = 4.184J

吸収または放出される熱の量を求めるには、下の式を用いる。

熱の量を求める式