ADHD(注意欠如多動症)の当事者で、ASD(自閉スペクトラム症)とADHDの2人の娘さんをもつなちゅ。さん。新刊『ADHDの母が伝えたい 生きづらい女の子が覚えておきたいこと』では、子どもから大人まで一生使える具体的な対応策を伝えている。「身だしなみをちゃんとしなさい」。そう言われても、何から手をつければいいのかわからない人は少なくない。メイクを覚えるべきか、服を選び直すべきか。本書で伝えているのは、もっともっと手前にあることだった。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局、イラスト/武者小路晶子)
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身だしなみ、メイクよりも効果の高いことがあります
「身だしなみがわからない」となったとき、私たちはつい、ファッションとかメイクのことだと思いがちではないでしょうか。
実は、それより効果が高いのは「かなり手前」のこと。
具体的には、身だしなみの第一歩として、毛を処理しませんか。特に優先度が高いのは「ひげ・指毛・眉間の毛」です。
今日から洗顔や歯みがきのついでに鏡を見て、自分のタイミングで剃ります。使うのは、眉用のカミソリ1本。これだけで、顔まわりも指毛もいけます。
石けん・ローションは使わなくていい。それらを塗る手間が面倒になって先延ばしにするくらいなら、「毛がない状態」をキープするほうを選ぶ。剃れたらOKです。
ちなみに、眉用カミソリを清潔にキープするのは難しいので、どんどん使い捨てるのがおすすめです。
身だしなみは、集団に「媚びる」のではなく「寄せる」
今は、学校でも、会社でも、「ルッキズム」が蔓延していますよね。私はいつも、「どうでもいいよ」と心の底で思いながら生きています。
一方で、「人を見た目で判断する」という圧力から完全に逃れるのも難しい。これも現実です。
人間は、集団で生きる生き物です。私たちは、自分と同じ価値観を持つ相手に、安心を感じるようにできている。逆に「自分とは違う」と感じた相手には、無意識に警戒のスイッチが入る。これは誰かが悪いんじゃなく、人間にもともと備わった習性です。だったら、その習性を逆に利用すればいい。多数派の価値観に、無理のない範囲で「ちょっとだけ寄せてみせる」。それだけで相手は安心して、こちらへの警戒を解いてくれます。
そして、その「ちょっとだけ寄せる」の中で、一番優先度が高い(コスパがいい)のが、ムダ毛の処理なのです。今の日本社会の多数派は、特に女性に対して「ムダ毛を処理していること」を、なんとなくよしとしています。これが正しいかどうかはさておき、そういう美意識が、多数派として存在している。この現実は、私が無視しても消えません。
これは、世間に媚びにいくわけではなく、自分を偽るのでもない。相手の安心を借りて、こちらがラクをするための戦略です。
まずは基本の3点(ひげ・指毛・眉間の毛)だけ。これが続けられるようになったら、「脇の下の毛を処理する」「日焼け止めを塗る」と、少しずつやることを広げていきます。超・超・スモールステップでやるのがコツです。
社会に蔓延する美意識に怯えて従うのではなくて、自分で選んで、自分のできる範囲でコントロールする。
そうすれば、ムダ毛の処理もメイクも、自分を守るために必死にやる「やらされる作業」から、自分を見せたいように見せる「攻めの戦略」に変わっていくのです。
なちゅ。
1980年生まれのワーキングマザー。発達障害(ADHD:注意欠如多動症)当事者。中学生と高校生の娘、そして夫も発達障害の特性を強く持つ。長女の発達障害診断をきっかけに、発達障害やそれに関連する分野の独学を開始。以来15年以上、自らの発達障害や子育てについてXを中心に情報発信を行う。仕事でも、障害福祉分野でマネジメント担当をしながら、個人事業主として講師業やスタートアップのサポートに従事。なかでも、自身の経験を活かした発達障害の親子のケアに力を入れている。
[医療監修]
本田秀夫(ほんだ・ひでお)
医師・信州大学医学部教授
1988年東京大学医学部卒。医学博士。専門は発達精神医学。信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 教授。信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部 部長。長野県発達障がい情報・支援センター「といろ」センター長。









