昇進した途端に仕事がうまく回らなくなり、原因を自分の性格や部下の態度に求めて一人で苦しむ中間管理職は少なくない。だが、その不調の正体は、本人の能力や努力の不足ではなく、組織の「昇進の仕組み」そのものに潜んでいることが多い。本記事では、『[新装版]ピーターの法則』の内容から、有能な人材ほど昇進とともに成果を出せなくなる理由を紹介する。(構成:ダイヤモンド社書籍編集局)
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昇進後の不調、原因はどこに?
昇進してから、なぜか仕事がうまくいかない。部下が指示に従わず、成果も出ない。そんなとき、自分の性格や部下の態度のせいにしていないだろうか。
この悩みに答えてくれるのが、本書だ。ピーターの法則とは、階層のある組織では、人は有能であるかぎり昇進を続け、やがて力を発揮できない地位(無能レベル)にたどり着き、そこに留まり続けるという法則である。
著者は、無能レベルに達した人々の心の内を探り、次のように指摘する。
さて、ここからは、本書の事例をもとに、昇進後の空回りから抜け出すヒントを紹介しよう。
悩みの正体は「背の低さ」ではない
本書には、鉛加工メーカーで在庫管理を担当していたスティックルという男性の例が紹介されている。
有能だった彼は、倉庫管理の副主任に昇進した。だが、その上の主任への昇進は「作業員を従わせる指導力がない」という理由で認められなかった。
スティックルは、作業員が背の低い自分をバカにしているせいだと考え、上げ底の靴を履き、ジムで体を鍛えたが、作業員は相変わらず従わない。精神科医に相談しても、慰めの言葉が裏目に出て自信を失い、副主任としても仕事がうまくいかなくなってしまった。
これはまったく見当違いな自己分析の典型だ。著者は、必要だったのは精神療法ではなく、ピーターの法則を理解することだったと述べている。
得意を見極めても油断は禁物
では、適性検査で得意分野を見極めれば無能になることを防げるのか。
本書には、商学部出身で空調機メーカーに入社したブリーズという男性の例が出てくる。
入社時の適性検査で、彼は人を説き伏せる「説得力」が平均を大きく上回っていた。そこで営業職として採用され、二度の昇進を経て営業部長になった。
ところが、部長として日々求められたのは、部下の配置や業務の割り振りといった組織をまとめる力だった。それは適性検査で最低のスコアだった、もっとも苦手な能力だったのである。
得意分野で成果を出すほど、次は苦手な仕事が回ってきやすい。
昇進の話が来たら、新しい役職で何が求められるのかを書き出し、自分の弱点と重なっていないかを点検するのがよいだろう。著者は、さらなる高みを求めて無能へ突き進む人々に対し、こう述べている。
昇進でつまずいても、それはあなた一人の失敗ではない。仕組みを知ったうえで、得意な持ち場に踏み留まるという選択肢を持っておくことも、重要なキャリア戦略のひとつなのだろう。




